研究課題/領域番号 |
20K03118
|
研究機関 | 帯広畜産大学 |
研究代表者 |
斉藤 準 帯広畜産大学, 畜産学部, 講師 (90757668)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | ラーニング・アナリティクス / 動画視聴時間 / 動画視聴計画性 / 学習ログ / オンデマンド授業 |
研究実績の概要 |
本研究では,大学教育の分析手法として,量的にも質的にもミドルスケールの学習データを用いたラーニング・アナリティクス(学習分析)を実践的に開発し,その有効性を明らかにすることを目指す。特に,DBER(学問に根ざした教育研究)の観点で学問分野固有の特性に着目し,分析対象をSTEM共通教育の科目群に絞ることで,量的にミドルスケールのデータを得る。また,主にLMS(学習管理システム)上のログデータやブラウザデータを活用することで,質的にミドルスケールのデータを得る。
本年度は,昨年度に準備したサーバ環境内において,LMSを使用する際のブラウザデータから学習データを取得するためのシステム開発を開始した。また,LMS上のログデータとして特に動画の視聴状況データを効率的に取得する手法を開発した。前者の開発はまだ途上であるが,後者については実際に活用して分析を実施し,以下のような結果を得て学会報告した。すなわち,物理教育における動画の視聴状況データにおいては,1) 視聴時間そのものは学習成果(成績)と相関しないこと,2) 動画視聴の計画性(いつ動画を視聴するか)を定量的に評価しうること,3) 視聴の計画性の高さが学習成果と正に相関すること,4) 視聴の計画性の高さが他の学習時間と正に相関すること,5) 以上より,視聴の計画性の高さは学習成果に結びつく学習時間を担保する可能性があること,等が示唆された。同内容をまとめた論文は現在投稿中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年度は,LMS上の動画視聴状況データを効率的に取得する手法を開発し,実際に活用して分析を行った。これにより,動画視聴に関する学習分析について一定の結果を得た。
しかしながら,当初に想定した学習データ取得のためのシステムの開発は途上であり,本年度中に試行を終えるとした計画に比べ実際の進捗は遅れているため,上記の通り判断した。当初想定のシステムではなく動画視聴状況のデータ取得・分析を優先した理由は,研究データの取得対象である授業がCOVID-19感染拡大に伴い動画視聴を中心とするオンデマンド型となったためである。
|
今後の研究の推進方策 |
引き続き当初計画のシステム開発を行い,可能なものから随時運用して学習データの取得を行う。分析手法については既に一定の蓄積があることから,データの取得が進み次第,効率的に推進できるものと考える。必要に応じて研究期間の延長も検討する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の各種対応により取得・分析する研究データを当初予定から変更したため,当初予定の研究活動を十分に行えず,次年度使用額が生じた。旅費の使用等,引き続き不透明ではあるものの,2年目の計画予定を3年目に追加して実施することで助成金を活用する。
|