研究課題/領域番号 |
20K03124
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
山本 朋弘 鹿児島大学, 法文教育学域教育学系, 准教授 (40772843)
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研究分担者 |
堀田 龍也 東北大学, 情報科学研究科, 教授 (50247508)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | プログラミング教育 / 情報教育 / eラーニング / ブレンディング型支援 |
研究実績の概要 |
本研究では,Web会議による遠隔支援と対面支援を併用した支援コースや教材を開発して,小学校プログラミング教育のブレンディング型支援システムを構築することを目的とし,令和2年度は,以下の研究内容を進めた. (1)小学校のプログラミング授業での対面型と遠隔型の支援について,先行研究や過去の実践した内容を分析して,対面型と遠隔型の支援それぞれの問題点を把握した.また,遠隔支援では,小学校と大学生をWeb会議システムで接続して,3校の小学校でプログラミング授業23回を試行的に支援した.その際,授業担当の教師や遠隔支援を行った大学生への聞き取り調査を行うなどして,遠隔と対面との関連性の確保や,対面支援を補完し興味関心を持続させるための要件を分析して,システム構築の要件を整理した.さらに,家庭で学習する児童と大学生を試行的に接続して,家庭での学習を遠隔支援する試みを進めた. (2)ブレンディング型支援システムの要件に基づいて,その支援コースや教材群の一部を開発した.遠隔と対面の併用型による支援コースの試案を開発して,その支援コースに即した教材例を開発した.開発にあたっては,大学生が動画作成ソフトを活用して,プログラミング等の操作手順を解説する動画を作成した.動画配信サイトから20教材の動画コンテンツを事前に視聴できるようにし,Web会議で子供どうしや教師と子供のやり取りを支援するようにした.そして,実際のプログラミング授業で開発した支援コースや教材群を用いたブレンディング型支援を展開し,児童の内容理解や学習意欲を高めるかを検証する.支援コースと教材等を用いた検証授業の実践を通じて,支援コースと教材を評価し改善を図るとともに,Web上で映像教材等を広く公開し普及に資する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)小学校のプログラミング授業における支援方法として,対面型と遠隔型の支援のモデル案を検討した,対面型の支援では,コロナ禍で訪問できないため,授業を実施した教師へのオンラインでの聞き取り調査や過去の授業映像を分析した.遠隔型の支援では,実際に実施状況を映像として記録して分析した.対面型支援,遠隔型支援ともに,学習者の実態や事前の指導内容などを把握することが必要であることを明らかにした.また,対面と遠隔を効果的にブレンドするために,同時と非同時を組み合わせた支援システムの要件を整理することができた. (2)ブレンディング型支援システムの要件に基づいて,その支援コースや教材群の一部を開発した.遠隔と対面の併用型による支援コースの試案を開発して,その支援コースに即した教材例12教材を開発した.教材の開発環境は,ビジュアルプログラミング環境で行い,eラーニングで教材コンテンツを提供し,児童が実際にプログラミングを行う上で進めやすいものとした.そして,実際のプログラミング授業で開発した支援コースや教材群を用いたブレンディング型支援を試行的に実施し,児童の内容理解や学習意欲を高めるかを検証した.プログラミングに関連するICTスキルの教材群を開発して,支援システムで提供するようにした.支援コースと教材等を用いた検証授業の実践を通じて,支援コースと教材を評価し改善を図るとともに,Web上で映像教材等の一部を公開した. (3)研究成果の公開としては,日本教育工学会研究会(令和3年5月予定),第32回全国大会や研究会において,本研究の成果を発表するとともに,作成した資料を協力校等に提供し,今後は作成した資料等をWeb上でも公開する予定である.また,これまでの取組をまとめた内容を日本教育工学会論文誌に投稿している段階にある.
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今後の研究の推進方策 |
(1)総合的な学習の時間や算数,理科を対象教科として,それぞれの支援コースの設計モデルを開発する.その際,小学校3年から6年までの学年段階に対応した教材の開発モデルを検討する.開発した支援コースや教材の設計モデルに基づいて,各学年の総合的な学習の時間,算数,理科でそれぞれ2教材の合計24教材を作成する.開発にあたっては,教員養成課程の大学生が開発できるようにし,大学生自身の教材開発力やICT活用指導力の向上を図るようにする.また,教材の開発環境では,初心者の大学生でも開発が進められるよう,ビジュアルプログラミング環境で行い,eラーニングでの教材コンテンツを提供する. (2)作成した支援コースと教材例を用いて,研究協力校において遠隔と対面の併用によるブレンディング型の授業支援を複数の学年で実施する予定である.授業支援の実施にあたっては,授業支援の教育効果を定量的・定性的に分析する.効果検証では遠隔と対面との関連付け,興味関心の持続等を分析し,支援コースや教材を改善する予定である.研究協力校において,総合的な学習の時間や算数,理科の合計約10単元で,開発した支援コースと作成した教材を用いた検証授業を行い,支援コースによる児童のプログラミングに関する知識や技能,学習意欲を分析する.さらに,家庭でのプログラミング学習を支援するようにし,希望する家庭と大学をWeb会議システムで接続して,遠隔支援を進めるようにする.
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ感染症により,予定していた国際学会等への参加ができなかったため.2021年度に,オンラインでの参加を行い,情報収集を進めるようにしている.
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