研究課題
プログラミング教育の実践者が活用することを意識し,授業実践の観点を記述的分析により明確化し,これを基に先行事例を体系化する「知見マップ」の構築を目指した.そこで2017-2020年度に実際に授業や実験などでプログラミングを利用した教育学・教育工学に関する180件の実践事例を調査した.「教材」として最も利用されていたのはScratchであった.Scratch以外の教育用アプリケーションも利用数・割合とも高い.これらは,具体的な実践方法を教育実践者に提供していることが多い.独自開発システムの件数も多かったが,1つのシステムに対しての事例数が1つないし2つの場合が多く,開発されたシステムが広く周知されていない現状が反映されている.「教科」では「課外活動」や「総合的な学習(探究)の時間」での実施数が多く,課外活動は教育センターや大学主体の事例が多かった.小学校は,「理科」「算数」,中学校は「技術」,高校は「情報」での事例が多く,教材がロボットやテキスト型に変わるといった特徴も見られた.小学校5,6年生での実施数が多かった.「学習目標」は非常に多岐にわたり,抽象度が異なるものが多いため,抽象度に応じてKJ法を用いて9つのカテゴリ(効力感・意欲,コンピテンシー,プログラミング的思考,情報の科学的な理解,教科教育,教材・イベント・ワークショップ,プログラミング習得,ツール開発,特定の対象者)に分類した.「教科教育」や「教材・イベント・ワークショップ」に分類されたものは具体的な学習目標が多く,「効力感・意欲」「コンピテンシー」は,抽象度の高い学習目標が多かった.「プログラミング的思考」「情報の科学的な理解」は学習目標が多様であった.また,小学校では,様々な教科からプログラミング的思考を養成するためのアプローチとなっていた.
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