研究課題
本研究では授業課題レポート作成者の「記述特徴」(書き方の「クセ」)を隠れマルコフモデルをベースとした複数の記述スタイルモデルに学習させ,作成者認証を行うことで盗用を発見する手法を提案している.実際の授業で13名の学生により6つの異なるテーマに対して作成されたレポート文書に本手法を適用して検証を行った結果,複数の作成者の記述特徴の違いをそれぞれの作成者の記述スタイルモデルのパラメータの違いから確認した.本手法は既存の内容に基づく類似性検出手法と併用することで偶然の一致による誤検出リスクを低減することを目的としているが,単体で用いた場合にも本人が作成したレポートであるか否かを高い精度で示すことが求められる.また,隠れマルコフモデルの性質上,個々の作成者の記述特徴の違いを説明することが困難であるという問題がある.2023年度には,作成者特徴の説明に特化したモデルの構築を行った.レポート内に出現する文字列のうち,特定の種類の記号(例えば漢字)に着目し,basing-point tokenとよぶ.このbase-point tokenの後に出現する文字の記号の種類が,予め選出した特定の記号群であるfollowing token(全角ひらがな,全角/半角英数,全角/半角カタカナ,句読点など)のいずれであるかを確率的な状態遷移として表現するマルコフモデルと,作成者特徴に基づく分類ルールとして表現する決定木モデルを用いて,作成者認証の根拠である,作成者特徴の説明を行った.本内容については2024年度中の発表を予定している.また,本研究に関連し,テキスト化された学習者の発言の文言から「学びの深さ」を推定する研究について,査読誌へ論文投稿を行い採録された.この他,記述特徴による作成者認証に関わる口頭発表を2件,査読誌への論文投稿を1件行った.
すべて 2024 2023
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件)
ICIC Express Letters, Part B: Applications
巻: 15(3) ページ: pp.245-252
10.24507/icicelb.15.03.245
巻: 14(6) ページ: pp.657-662
10.24507/icicelb.14.06.657