研究課題/領域番号 |
20K03142
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研究機関 | 明石工業高等専門学校 |
研究代表者 |
竹岡 篤永 明石工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (30553458)
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研究分担者 |
高橋 暁子 徳島大学, 高等教育研究センター, 准教授 (20648969)
根本 淳子 明治学院大学, 心理学部, 准教授 (80423656)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ストーリー型教材 / インストラクショナルデザイン / 高専基礎教育 |
研究実績の概要 |
本研究は、工学分野の中堅技術者を育成する工業高等専門学校(高専)教育を題材に、基礎レベルの学習内容を、応用する形において実社会・実生活に結びつけるための教育設計(リフレクションツールを伴うストーリー型教材の設計)の総合的な研究である。これまで行ってきたストーリー型教材のデザイン研究を発展させ、基礎的な学習内容におけるストーリー型教材の設計要因を特定することを目指している。1年目は、ストーリー型教材を設計するための基礎資料の収集(高専卒業生、教員、企業関係者等へのインタビュー)と既存のリフレクションツールの改修を目指した。 ①教材試作のための情報収集については、本研究独自のインタビュー等を実施することはできなかったが、キャリアイベントにおける高専卒業生の講演や、在学生の専門分野やキャリアについての通常教務での面談を通じて、データを収集することができた。②既存のリフレクションツールの改修については、オンライン授業を実施することになったため、既存ツール(振り返りを促す)の改修の検討は実施できなかった。そこで、オンライン授業を通じて別ツール(振り返りを書き、コメントが容易)の試用を行うことにした。この中からこのツールを使った学生たちの具体的な状況や振り返りタイミングについての有用なデータを得ることができた。このように当初計画の通りとはいかなかったが、代替方法によって実施し、やや遅れはあるものの進めることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①情報収集:ストーリー型教材の設計のために必要な情報については、業務を通じて得た2系統から情報が整理できた。1つは、キャリアイベントなどから得られた高専卒業生の在学中の学習傾向である。コンテストや資格の取得という結果がはっきり示されるものに向かった取り組みが影響を持つことが感じ取れた。2つめは、就職・進学(大学編入学)を控えた学生の意識である。専門の学習を重ねてきたものの、その専門を活かした就職を望んでいない学生が一定数存在することがわかった。 ②リフレクションツール:当初は、共同研究者のプロジェクトで開発したツールの改修を予定していた。コロナに伴うオンライン授業の設計を優先させる必要があったため、当該授業で既存の別のツールを試用した(大福帳.js)。学びのスケッチと比較すると、振り返りそのものを書かせるという点が異なり、本研究に有用である点が見いだせた。
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今後の研究の推進方策 |
2年目はストーリー案作成のために、当初1年目に予定していた卒業生、学科教員、企業関係者に対するインタビューを実施する。前半にインタビューを実施し、整理を行う。平行して、対象学科を選定し、ストーリーの骨子の作成を行う。リフレクションツールについては、当初予定の学びのスケッチと1年度に使用した大福帳.jsを比較検討し、本研究にふさわしいツールの要件を洗い出すこととする。 また、研究代表者が高専を離れたため、高専教員を新たに研究の協力者に加え、研究を推進していくものとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画していた対面でのインタビュー調査などができなかった。また、ツールの改修については、新しいツールを検討したため、行わなかった。次年度に繰り越した研究費は社会情勢を鑑みながら、調査(インタビュー等)を実施する。また、研究に必要なソフトウェア、パソコンの購入に充てる。
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