研究実績の概要 |
本研究ではアジア太平洋研究教育ネットワーク医療ワーキンググループの技術担当者研修プログラムについて到達目標および評価指針を開発・実証した。1年目は、医療ワーキンググループにおける19ヶ国14名の評価者でデルファイアンケートを実施し、到達目標と評価指針を開発した。2年目は、技術スタッフ・研究者3名が各評価指標において既存のプログラムを検証した。3年目は、コロナ禍で停止していたアジアの技術者の招聘が可能になったため、さくらサイエンスプログラムと合同でアジア6か国の9名の研修者を日本に招聘し、技術研修を行った。研修前後の自己評価では、業務の理解と協力に関する項目(プレ:3.1±0.3,ポスト: 3.6±0.3, P=.01*), セットアップ関連項目(プレ:3.4±0.6,ポスト: 3.6±0.5, P=.72),機材操作関連項目(プレ:3.1±0.7,ポスト: 3.3±0.6, P=.48), 品質保持関連項目(プレ:2.9±0.6,ポスト: 3.4±0.5, P=.11)となり、業務の理解と協力に関してのみ有意に向上した。項目別にみると施設内のモデレーターや発表者とのコミュニケーション(P=.01), 映像機器操作(P=.46), カメラ・コンテンツ品質管理 (P=.03), 医療情報の取り扱い(P=.038) が研修後増加した。研修者はこれまでにプログラムの主催を経験したことがあるものが少なからずいたため、機器操作には自信がある一方で、様々なスタイルの遠隔医療プログラムの技術支援を経験したことで、手順や関係者間のコミュニケーションを習得できた。また、自施設を接続した研修報告会を主催することで、自施設からの映像を客観的に捉え、メンテナンスをするスキルや、医療情報の取り扱いについても知見を得た。今後実証者の数を増やし、研修プログラムの更新に役立てたい。
|