研究課題/領域番号 |
20K03159
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研究機関 | 放送大学 |
研究代表者 |
辻 靖彦 放送大学, 教養学部, 准教授 (10392292)
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研究分担者 |
田口 真奈 京都大学, 高等教育研究開発推進センター(令和4年9月30日まで), 准教授 (50333274)
高比良 美詠子 立正大学, 心理学部, 教授 (80370097)
稲葉 利江子 津田塾大学, 学芸学部, 教授 (90370098)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 高等教育 / オンライン授業 / ICT活用教育 / ICT利用の類型化 |
研究実績の概要 |
本研究は,2020年前期のコロナ禍下においてどのようにICTツールを用いたオンライン授業が実施されたのか,その実態を明らかにすると共に,その後のウィズコロナやアフターコロナに向けてICTの利用がどのように変化していくのかについて明らかにすることを目的とし,「講義科目」「演習・実習科目」「ゼミ・セミナー科目」の3つの授業形式に分けて大学教員を対象に縦断調査を設計し,第1回調査を2020年7月に実施した.
2022年度では,昨年度末に投稿した論文に対して採録の条件を満たすように修正案を検討し,その結果,原著論文を採択するまで至った.並行して2022年7~8月の期間にて縦断調査の第2回アンケートを実施した.第2回では第1回で回答した授業内容について個別に示すことで同様の授業のICT利用等について回答するように依頼した.第2回の回答と第1回の回答について比較することでオンライン授業がほとんどであったコロナ禍初期の2020年度ととアフターコロナを覗う2022年度の授業の実施にてICT利用にどのような変容があったのかを明らかにできると考えられる.
続いて,その第2回目の調査回答を基に,2022年度の対面講義授業におけるICT利用の類型について明らかにすると共に,2020年度のコロナ禍初期のオンライン授業におけるICT利用に対する信念の因子構造を明らかにした.そしてそのICT利用に帯する信念やオンライン授業における授業効力感が,オンライン授業の実施意欲に与える影響について分析して論文化と投稿を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では,コロナ禍による授業内のICT活用の変化の実態を明らかにするとともに,現在の変化が,今後も持続・発展していくのか,あるいは早々に元の水準に戻るのかという問題に着目した.ICT活用の今後の推移に影響するさまざまな個人側の要因について,14年前の実態調査の結果も踏まえながら,縦断的に検討することを目指している.
本年度はこれまでの分析内容を基にした投稿論文に対して採録の条件を見なすための検討を行うことに加えて,第2回調査を実施し,その回答結果に対して更なる分析を実施すると共に,更なる論文化を行い投稿した.それにより,2件の口頭発表と2本の論文化,そして1件の論文化と投稿を行うことができた. 以上から,「概ね順調に進展している」と判断した.
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今後の研究の推進方策 |
本研究で計画した縦断調査の通り,2022年度にその2回目の調査を実施した. これによりBeforeコロナ,Withコロナ,WithコロナまたはAfterコロナの3時点におけるICT利用等の授業の状況を比較することで,コロナ禍によって授業のICT利用がどのように変化したのか,そしてその変化や授業の成功体験がICT利用の効果認識にどのように作用したのか,授業がうまく行ったのであればどのような要因で成功したのか,そして,コロナ禍への対応のために利用したICTが,Afterコロナの授業でどの程度継続利用されるのかを明らかにできると考えられる. 2023年度においては第2回調査の報告書を公開すると共に,2回の調査回答から縦断分析を行うことでWithコロナ及びAfterコロナにおけるオンライン授業における大学教員の授業効力感やそのICT利用における要因を明らかにできると考えられる. また,科研の目的の一つであった授業のICT利用における診断システムについても検討を行う予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
第2回調査の実施が当初の予定よりも遅くなり,2023年度に基礎集計を含めた報告書を公開する予定である.そのために次年度使用額を計上した.
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