研究課題/領域番号 |
20K03167
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研究機関 | 関西外国語大学 |
研究代表者 |
新坊 昌弘 関西外国語大学, 英語キャリア学部, 教授 (90566308)
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研究分担者 |
脇本 健弘 横浜国立大学, 大学院教育学研究科, 准教授 (40633326)
町支 大祐 帝京大学, 公私立大学の部局等, 講師 (40755279)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 授業研究 |
研究実績の概要 |
教師の真正な学びは、同僚と共に実践をデザイン、省察、改善し、それらを繰り返す円環型であり、子どもの学びの長期的な捉えに基づき子どもの学びや授業のあり方を問い直すダブル・ループ型が求められる。 これまで授業研究は教師の学びに大きな成果をあげてきた。しかし、現在 、授業研究は過度な省察の強調により、授業をデザインする創造的過程が見落とされがちであり、その省察も子どもの短期的評価や次の授業への改善が中心のシングル・ループ型に陥りやすくなっている。 そこで、本研究では、ダブル・ループ型の授業研究を開発し、教師の真正な学びを促す授業研究のモデル導出を試みる。具体的には、事前検討重視型授業研究に、子どものノート記録による実践記録の作成・協働省察を加え、それらをもとに研究授業のデザイン、省察が行われ、授業研究が授業や子どもの学びのあり方を問い直すダブル・ループ型になることを目指す。 本研究では、ダブル・ループ型授業研究の開発を行う。子どもの事例研究として、子どものノート分析を進め、定期的に同僚と共有し、省察を行う。そして、事例研究の結果をもとに、事前検討会重視型授業研究を行う。研究授業デザインや省察の前後には、これまでの実践記録による子どもの学びに関する省察をもとに、今後の授業やカリキュラムのあり方について議論を行い、方向性をまとめ、サイクルを回していく。以上の取り組みについて、実践を行い、その効果を検証する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
令和3年度は前年度に引き続き、申請者らが既に関わっている事前検討重視型の校内研究に取り組む学校において、児童のノート記述から学びの変容を見取る研修を併せて実施し、授業づくりに反映させていく取組み、及び昨年度未実施であった令和2年度末のインタビューの早期実施を計画していた。しかしながら、前年度同様、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を大きく受け、研修に申請者らが関わる回数は2回に留まり、予定していたインタビューも実施できるに至らなかった。学校とは連絡を取り合い、これまで実施してきた事前学習会で取り扱った単元を中心に授業実践を重ねるとともに、ノートの交流を通して、その記述から児童の変容を捉える研修を継続して頂いた。学校のnet環境の整備が進む中、年度末に予定していた取り組みの成果や課題を把握する半構造化インタビューについては、今年度はオンラインにより実施することが出来た。 更に、これまでの事前検討重視型校内研修に併せ、児童のノート記述から児童の変容を捉えるダブル・ループ型の校内研修の在り方についての現段階での成果を取りまとめ、研究分担者である脇本、町支両氏編著の書籍「教師が学びあう学校づくり ― 若手教師の育て方 実践事例集 ―」(第一法規2021/10/5 )の第3部「組織で若手を育てる!」実践編において公表することが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度は、研修の実施については今後のコロナウイルスの感染状況を見守りながら、研修回数を確保していきたい。更に、昨年度末にオンラインにより実施した取り組みの成果や課題を把握する半構造化インタビューから、児童のノートからの学びの見取りが、「教員の子どもに対する見方」「授業づくり」「教員組織の在り様」「教員個々の意識」等にどのような影響をもたらしたのか、分析を行い明らかにしていく予定である。令和4年度については最終年度であることを踏まえ、研修の実施と半構造化インタビューの分析を軸に、成果と課題を明らかにし、ダブル・ループ型の校内研修モデルの開発と評価を目指す。その結果については、学会の全国大会や研究会で積極的に発表・報告していく予定である。更には、国際学会での発表も視野に入れ、最終年度の研究を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者と2名の分担者は、大阪府と神奈川県・東京都に分かれており、2名の研究協力者も含め、分析のための数度の会合を大阪府又は神奈川県で開催する予定であった。また、年度末の半構造化インタビューにおいては、2名の分担者が来阪し、当該校において実施するため、旅費が発生する予定であった。令和3年度は、2名の研究分担者の来阪が1回に留まり、インタビューもオンラインとなってしまったため、旅費の発生が予定より大幅に減少してしまった。また、令和2年度末に予定されていた未実施分のインタビューの令和3年度での実施は実現せず、音声データの文字起こし等に必要な人件費も発生することがなかった。 令和4年度は、研究の最終年度でもあり、研究協力者も含め、大阪府と神奈川県・東京都の往来は大幅に増加する予定であり、令和3年度末に実施が実現したインタビューの分析についても人件費が発生する予定である。併せて、これまでオンライン開催であった国内外の学会も対面で実施する方向にあり、複数の発表機会があることを考えると、それに伴う旅費や消耗品費も増加すると考えている。そのような理由から、申請者及び2名の研究分担者には、それぞれの未使用額をそのまま次年度に繰り越して使用する。
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