本研究では、2017年度から事前検討会重視型授業研究(中堂 2017)に取組む、大阪府内のある小学校を対象に、2018年度から、ノートを通じて子どもたちの長期的な学びのありようをみとり、それをもとに教員が学びあうという実践を行っている。 今年度は、これまでに分析してきた実践初年度の変化や効果に加えて、この実践を継続していくことでどのような変化が生じるのかといった点について分析と発表を行った。具体的には2020年3月のインタビューの分析を進めた。2年間の実践を経た状態で、どのような効果や影響が生じているか、という視点から分析を行った。質的データ分析を行い、カテゴリ化を行った。これまでの分析でも確認されてきた学びに対する見方や授業そのものの変化に加え、新たに確認されたものもあった。自組織に対する気づきをきっかけに生じた、そもそもの組織のあり方に関する認識の変容や、最終的には、授業づくりのあり方や子どもの学びに対する捉え方などの授業観の変容につながる、より深い部分での変化が生じた様子が見て取れた。 この結果は、2022年9月の日本教育工学会秋季全国大会で発表を行った。また、実践の効果の全体像やその意味について、国際学会(World Association of Lesson Study 2022)での発表も行った。これらを通じて、知見の発信を行うとともに、建設的なご意見をいただき改めてこの取組みについて考える機会を得た。 さらに。2022年3月に行ったインタビューの分析を進めた。子どもや授業、教師の学びのあり方についての捉えが転換するような、ダブル・ループ型の学びが一部に生じている様子が見て取れた。
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