研究課題/領域番号 |
20K03168
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研究機関 | 吉備国際大学 |
研究代表者 |
京極 真 吉備国際大学, 保健医療福祉学部, 教授 (50541611)
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研究分担者 |
寺岡 睦 吉備国際大学, 保健医療福祉学部, 講師 (60846103)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | コンフリクト / 対立 / 信念対立 / ストレス反応 |
研究実績の概要 |
ストレスを引き起こす要因のひとつに、意見や価値観の対立(信念対立)がある。これは、様々な摩擦を引き起こし、不安、抑うつ、緊張などを生じさせる。本研究は、対立で生じるストレス反応を低減するプログラムを開発することを目指している。昨年度は、対立の考え方の違いによって、ストレス反応が異なることがわかったため、本年度は対立の考え方の違いによってコミュニケーションスキルやストレスコーピングスキルに違いがあるかどうかを検討し、ストレスマネジメントのプロトタイププログラムによってストレス反応や対立の考え方に違いが生じるかを検討する探索的な予備的調査を行った。結果、考え方が対立の肯定的側面に向いているか、否定的側面に向いているかによって、コミュニケーションスキルやストレスコーピングスキルに有意な差がないことがわかった。他方、考え方が対立の肯定的側面に焦点を当てていればストレス反応が低く、逆に対立の否定的側面に焦点を当てていればストレス反応が高いことは確認された。これはつまり、対立によるストレス反応の高低は、コミュニケーションスキルやストレスコーピングスキルの状態よりも、対立の考え方で規定される可能性を示唆している。また、プロトタイププログラムの予備的調査では、ストレス反応を低下させることが確認できたものの、対立の考え方の変化には影響していない可能性が示唆された。対立の考え方は、ストレス反応の状態に関連していることから、プロトタイププログラムによってストレス反応が低下する可能性が示唆されたものの、意見や価値観の対立をきっかけとして再びストレス反応が高まる土壌が残っている可能性が考えられた。また、対立の考え方と生理的ストレス反応の関係も調べはじめており、プログラムの影響を調べるために引き続き検討を進める必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
対立の考え方の変容を促すプログラムの設計と調整に時間がかかっているため。プロトタイププログラムではストレス反応が低減する可能性が示唆されたものの、対立への考え方の変容が確認されなかった。そのため、諸々の関連する調査結果と先行研究を踏まえてプログラムの設計を試行錯誤しながら行う必要がある。その過程で時間がかかっている。
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今後の研究の推進方策 |
今後、信念対立に対する考え方とその他の要因の検討をさらに進める必要がある。また、考え方の変容を促すプログラムの設計と調整を行い、それによって信念対立に対する考え方が変化し、ストレス反応にどのような影響を与えるかを調べる必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究を進めているが、プログラムの設計と調整で試行錯誤しているため、次年度使用額が生じた。次年度にプログラム設計と実施で使用する計画である。
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