研究課題/領域番号 |
20K03183
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研究機関 | 文京学院大学 |
研究代表者 |
長野 祐一郎 文京学院大学, 人間学部, 准教授 (00325870)
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研究分担者 |
森田 裕介 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (20314891)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 生体情報 / ウェアラブル / IoT / 教育評価 / 発汗 / 心拍数 / 心拍変動 |
研究実績の概要 |
2020年度は、教育現場における生体情報多人数同時測定を想定し、心拍数と発汗を同時に測定できる無線計測器を用途に応じて2種類作成した。2021年度はそれらの計測器を用い、生体反応から受講者の状態・特性を判定するための基礎データを得ることを目的に、演習形式の授業において、生体反応とアンケートの同時測定を合計6セット行った。各セットは、約10分間の研究紹介と約15分間ディスカッション・発表により構成されており、各期間の終了時にアンケートによる主観評定が実施された。 主観評定を分析した結果、「睡眠-覚醒」、「不快-快」、「充実した」、「集中した」の項目において、研究紹介2および6の評価が、研究紹介3に比べ良好である事が示された。「退屈な」、「つまらない」などの項目では、研究紹介3が研究紹介2・4・6に比べ高い評定であることが示された。総じて、研究紹介2および6の評価が、研究紹介3に比べ良好であると言えた。 生体反応の分析からは、いずれのセットにおいても、研究紹介に比べディスカッション・発表期間において、発汗が顕著に生じる結果となっていた。一方で心拍数に関しては、発汗と同様の傾向が一部のセットにおいて認められるものの、研究紹介とディスカッション・発表の差は、それほど明確とはいえなかった。 主観評定と生体反応の関係性を、絶対値による相関係数の算出や、測定期間内の変化傾向等、様々な角度から検討したが、明確な関係性は認められなかった。特に心拍数に関しては、参加者の体動に起因するデータ欠損が多く認められ、生体情報による参加者状態の把握には、より安定したデータ測定が必要となる可能性が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
演習や講義、実験等、より多様な形式の授業で測定を予定していたが、研究期間内に緊急事態宣言期間が含まれ、その後も長期にわたりオンライン講義が続いたため、予定通した測定をすべて実施する事は事実上無理であった。また、新たに追加した心拍数測定用のセンサーが想定以上に不安定であり、参加者がセンサーに慣れ、安定した測定結果を得るまで時間を要した。この問題に関しては、教示を改善することである程度の改善をみたが、安定した結果を得るために、参加者が注意深く測定器を扱う必要があることが判明した。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は予定していた授業形式すべてを測定することができなかったため、2022年度は研究分担者と協力し、より多様な種類の授業場面において測定を行い、基礎データの充実を図る。また、生体情報と主観評定の関係性を精査し、参加者の状態判定をリアルタイムで行うシステムの構築を目指す。具体的には各生理指標の絶対値および変化傾向に閾値を設け、覚醒-睡眠や快-不快に関して、教員にフィードバックを行う仕組みを作成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究期間内に緊急事態宣言があり、予定した計測器の改良・追加生産を完了できず、作成用部品代、組み立て作業用の人件費などを予定通り支出できなかった事が主な原因である。
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