研究課題/領域番号 |
20K03184
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
及川 義道 東海大学, 理系教育センター, 教授 (00213611)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 生体情報取得 / 廉価ウェアラブルセンサー / moodle拡張機能 / Web Bluetooth API |
研究実績の概要 |
令和2年度の研究で懸案となっていた、学習管理システムのmoodleとウェアラブルセンサーから得られる情報との連動について検討を行った。令和2年度では、moodleが稼働する同一サーバー上でウェアラブルセンサーから得た情報を取得することはできていたが、moodleでこの情報を活用するためには、moodleのプラグインとして取得したデータを利用できる必要があった。そこで、当該令和3年度では、ウェアラブルセンサーから得られたデータをmoodleのブロックと呼ばれる拡張機能としての実装を試みた。 令和2年度では、生体情報の取得、表示をwebサービスとして実現するため、機能開発にJavascriptと呼ばれる言語および実行環境を利用しており、これをmoodle上でも実施可能な方法について各種の検討を実施した。また、令和2年度で開発のターゲットにしていた簡易脳波測定用ヘッドセットの入手が困難となり、ターゲットを変更して開発する必要性が生じた。このため、プログラムに大幅な変更が必要となり、データの取得、連携方法を新たに検討しなければならなくなり、予想以上にプログラム開発に時間を要することとなった。これが主因となり、当該年度において目的としたmoodleの拡張機能として生体情報を学習者にフィードバックすることができなかった。現在、新規に採用した簡易脳波測定用ヘッドセットに対するプログラム開発を継続して行っている。 脳波以外の生体情報については、心拍数、瞬目回数を専用アプリおよび録画像を解析することで、脳波データとの比較から集中状態などを知るための情報として利用可能か実験を行った。この実験から、学習者により変化のパターンは異なるものの、心拍数や瞬目回数が集中度と関連することが示唆できるデータが得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度令和2年度に使用していた簡易脳波測定用ヘッドセットの入手が困難になったことから、実利用を考慮し、入手可能な簡易脳波測定用ヘッドセットに変更して開発を継続することにした。このため、ヘッドセットからのデータ取得方法およびサーバーとの連携方法に変更が必要となった。この対応に予想以上の時間を要した。また、moodleとの連動も、当初考えていた方法では動作しないことがわかり、種々検討したものの、moodleの拡張機能として簡易脳波測定用ヘッドセットからの情報を利用する機能を実装することができなかった。この研究の遅延により、当該年度実施予定であった評価試験を行うことができなかった。また、令和2年度に購入を予定していた眼球の動きを計測するウェアラブルセンターが生産中止となってしまったことから、当該年度に代替え機を選定、購入する予定でいたが、プログラム開発の遅延を受けて、購入を見送ることにしたため、瞬目回数の計測をmoodle上で行う機能の実装に関する検討が行えなかった。この遅延をカバーするため、瞬目回数の計測は録画画像を用いる方法に切り替え、脳波情報と瞬目回数との関連についてデータを取得した。また、心拍数についても,単独で動作するプログラムを作成し、脳波との関連性を検証した。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度上半期では、令和3年度に完成できなかった、脳波ウェアラブルセンサーとmoodleを連動するための拡張機能の開発に注力したいと考えている。これと並行して、被験者の募集と評価試験の準備を行う予定である。被験者の募集については、対面での依頼も可能であるため、予定人数を確保しやすいと思われる。また、評価試験は、COVID-19の感染防止対策を講じつつ、対面での評価試験実施を予定している。 令和4年下半期では、生体情報のフィードバックの有無による学習状況の変化を、事前事後テスト、作業中の録画情報から解析、検証したいと考えている。解析、検証のためのデータを複数年度分取得したいと考えており、できれば研究期間を1年間延長して実施したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
消耗品等は予定通り購入したものの、プログラム開発に想定以上の時間を要したため、予定していた各種センサーの実験を見合わせたため、センサー類の購入を行わなかった。また、令和2年度同様COVID-19の蔓延に伴い、学会のオンライン開催、移動の自粛により旅費の支出を行わなかった。このため、次年度使用額が発生した。令和4年度下半期に予定している評価試験に合わせ、次年度使用額については、追加センサーモジュールの購入、センサーモジュールとPCとを連携するためのインターフェイスの購入に充てる予定である。令和4年度分については、予定通り支出する計画である。
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