研究課題/領域番号 |
20K03187
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研究機関 | 大阪樟蔭女子大学 |
研究代表者 |
今田 晃一 大阪樟蔭女子大学, 学芸学部, 教授 (40342969)
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研究分担者 |
村山 大樹 帝京平成大学, 現代ライフ学部, 講師 (90721671)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ネットいじめ防止 / ICT活用 / GIGAスクール構想 / 教員研修 |
研究実績の概要 |
本研究に関する1年間の模擬授業(実践)および教員研修の結果、教員研修用の動画を数本作成することができた。この動画の特徴は、「令和の日本型学校教育」におけるキーワードを上段に表示、下段にファシリテーターとしての留意点を表示しているのがその特徴である。またこの研修用の動画教材は、すでに研究代表者の在籍する大学での教職の授業において何回かの改善を重ね、活用しており、学生からはICT活用の学習指導上の留意点が理解しやすい、という比較的高い評価を得ている。これらの動画教材は、You Tubeへの限定公開の形で作成した。さらに今年度は、ファシリテーターとしての教員の在り方というもうひとつの課題について取り組んだ。2021内閣府教育人材育成政策中間まとめでは、TeachingからCoaching へと提示されている。ただ、Coachingはあくまでも個人への支援が主であり、日本の学校が伝統的に練り上げてきた集団への支援としてのfacilitationの方をより重視することが大切であることをまとめた。研究協力校である東大阪市立日新高校においても、ファシリテーターとしての教員の在り方の議論を積み重ねてきたが、それらの成果も論文および学術エッセイとして発表することができた。 さらにまたこれらの研究を教員養成という視点で発展させるためには、新設科目である「情報通信技術を活用した教育に関する理論及び方法」等を中心とし、さらに初年次教育である「理数・データサイエンス・AIリテラシー科目」との連携にも留意した教職課程全体のカリキュラム・マネジメントの必要性が明らかになり、関連する論文等にも取り組んだ。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度からGIGAスクール構想における1人1台端末の環境整備が整い、学習履歴(スタディ・ログ)の活用についても注目が集まっている。昨年度に引き続き、「ネットいじめ防止」をテーマとするも、GIGAスクール構想関連にも研究の視点を広げて教育現場のニーズに答えていきたいと考えている。ネットいじめについては、依然としてLINEによる問題が多く発生しており、児童生徒の関心も高いことが改めて明らかになった。それを単なる「~してはいけない」という暗転型の情報モラル教育にしてしまうのではなく、新しいSNS時代、Society5.0下におけるコミュニケーション能力の一つとして、その場の雰囲気を前向きに変えてしまうような即時的なアサーティブなコメント力を身に付けようというポジティブな発想で臨むものとする。これこそリモート時代に必要な新しい資質・能力であり、本研究ではそのような人を「スイッチャー(仮称:研究代表者のオリジナル)」と呼ぶこととして、児童生徒の興味関心に焦点を当てながら題材の工夫、検討に取り組んでいきたい。特にスイッチャーについては、より大きな概念としてのアサーションの視点が先生方にも児童生徒にも理解しやすいということが明らかになった。 また、ゲストティーチャーとして遠隔授業の形式で模擬授業を行うことにより、授業者が自然にファシリテーターとしての視点等を実感できる、という新たな知見の可能性も見出すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
来年度はいよいよ研究の最終年度となる。教員養成系の学生および教員を対象とした件数用動画を完成させるとともに、ネットいじめ防止に関する実践的な留意点をまとめる。その際、GIGAスクール構想における1人1台端末および学習履歴(スタディ・ログ)を最大限活用した授業アイデアとともに提案する。スタディ・ログの活用は、今後のICT活用の大きな課題であり、テクノロジーの進化により可能性が広がる分野である。 またCoachingではなく、facilitation、すなわち個別の支援ではなく、集団の支援者としてのファシリテーターの在り方は、今後の教員の資質としても重要なものでありさらに追及していきたい。その際、先生方との自由な討議、協議を通じて実践的な留意点を明らかにしていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
ネットいじめ防止のための模擬授業が新型コロナウイルスの影響で学校の方へ赴くことができなくなったので、リモートによるゲストティーチャーとして行った。そのため、旅費が不必要となったため。
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