自動車修理塗装における「調色」作業は、修理塗装の中でも難易度が高く経験値が最も必要であるとされている。この理由は、スプレーガンで塗装し乾燥した後の塗装色が修理する車体の色と一致するように塗料の配合を調整する必要があるためである。熟練技術者の退職と若手技術者の減少による人手不足が深刻化する自動車修理業では、習熟に時間を要する調色におけるコツや勘を取り入れた新しい教材が待ち望まれている。本研究では、調色における熟練技術者の暗黙知を形式知化し、調色のコツや勘を若手技術者に伝える体験型教育システムを構築することを目的としている。 2022年度は2020、2021年度に実施した技術者を対象とした実験の結果である調色作業の工程分析と注視点の解析を進めた。この解析より、非熟練者は塗面の仕上がりの見極めが甘いことが明らかになったため、塗面の仕上がりの良し悪しを判断するARアプリ教材の開発を行った。
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