申請者らはこれまでに1-6年生を対象に、算数文章題の作問学習支援システムを構築してきた。システムは論理知識型AIを実装しており、学習者の誤りを説明可能な形で分析できる。よってこの分析結果を教師や学習者が利用でき、かつ、それを広く利用可能とするため、学年間の連携機能の開発と、その実証に取り組んだ。なお、本実証研究は開始と同時にコロナ禍に直面したため、実践利用の実現のために、ドメインを横断する汎用的な診断モデルの構築(従来のモデルの拡張)も余儀なくされ、そちらの構築にも取り組んだ。2020年度は、1-6年生の従来システムの利用におけるデータの抽出と分析、および、コロナ禍でも実施可能なオンライン経由での関連システムの授業実現についての知見を得た。こちらの結果は教育システム関連の国内ジャーナルに採録されている。2021年度は前年度の結果を踏まえ、オンラインでの実施を検討したが、実施を実現しようとしたタイミングで再度コロナウイルスが猛威を振るってしまったため、実践利用の実現には至れなかった。ただし、分野横断型システムのWebシステムとしての開発と、当該システムを教師が十分に指導できない状況で利用した場合の行き詰まりに対するフィードバックのモデルを構築しており、こちらは脳波を用いた学習者モデルの拡張と、それに基づく学習支援システムの改良につながっている。この研究において構築したモデルは新規のものであり、国際会議においてBest Overall Paper Awardを受賞しており、教育支援システム関連の研究においては評価も高いRPTELにおいて国際ジャーナルとして採録されている。2022年度はシステムの完成はできたものの、実践利用にはつながらなかった。ただし、現場教員の方々には評価をしてもらい、研究発表に繋げることができた。
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