研究課題
ソースコードの読解学習を実践する際に,提案方式とハイライト方式で学習効果の比較実験を行い,提案法の有用性を確かめた.両システム共に,HTML5でシステムを実装した.提案法を用いたシステムでは,コードをチャンク単位で区切り,学習者に現在学習者が読解すべきチャンクのみを順にひとつずつ表示できるようにした.チャンクを順に表示する機能については,学習者が「次へ」のボタンを押すか,あるいはカーソルキーを操作することで,次のチャンクの表示に切り替えられるようにした.提案法の狙いは,表示される情報量を必要最低限にすることで,チャンク部分のみの内容理解に誘導することである.そして,このようなチャンク読みの方法を理解させることによって,チャンキング技能の養成を意図している.本研究では,情報学を専攻し中級に差し掛かる段階のプログラミング学習者20名を被験者に採用し,提案法の有用性を調査した.C言語で書かれたソースコードの読解力を問う事前試験の点数と読解時間に基づき,1点あたりの秒数を「効率性」と定義し,その値が均一になるよう被験者を実験群と統制群に10名ずつ分けた.統制群は従来のハイライト表示方式,実験群は提案手法である.それぞれのシステムを利用した学習を行い,学習後,効率性の観点で学習効果を評価した.実験の結果,実験群は統制群と同様の学習効果を持つことが示唆された.実験群では提示される情報量が統制群よりも少なく,情報量といった観点では両群は不平等な条件であるにも関わらず,提案法は従来法と同等であった.認知負荷アンケートの結果から,提案法は従来法よりも統計的に有意に課題外在性負荷を低減可能な方式であることが確認された.主観評価からも,学習に集中して取り組めていることが示唆された.このことから,提案法の有用性を明らかにできた.
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情報処理学会論文誌教育とコンピュータ(TCE)
巻: 9(1) ページ: 65-74
Proceedings of 2022 11th International Congress on Advanced Applied Informatics
巻: CFP2262T-ART ページ: 264-267