研究課題/領域番号 |
20K03198
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研究機関 | 富山高等専門学校 |
研究代表者 |
向瀬 紀一郎 富山高等専門学校, その他部局等, 准教授 (60408721)
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研究分担者 |
金山 恵美 富山高等専門学校, その他部局等, 准教授 (70779800)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 海事教育 / 仮想現実感 |
研究実績の概要 |
富山高等専門学校は,大型外航船(国際航路を行き交うタンカーやコンテナ船など)の運航を司る幹部職員を養成しており,練習船での乗船実習を含む海事教育を実施している。本研究は,乗船実習の補強となる新しい形のグループワークを,VR(仮想現実感)技術などの最新のICTの応用によって実現し,その効果を測定し,外航船の幹部職員に求められる特異なハードスキルとソフトスキルがどのような訓練によって育成され得るものであるのかを明らかにすることを目的としている。 なお,2019年からの新型コロナウイルス感染症の世界的な流行に伴い,狭い練習船の中での大人数での実習の実施に際しては,多くの制限が課せられる状況が続いている。一方で,この新型コロナウイルス感染症問題の影響により,教育現場のDX(デジタルトランスフォーメーション)の飛躍的な進歩が見られたことも事実である。 本研究も,当初は乗船実習やグループワークの充実を想定した計画で開始されていたが,このウィズコロナ時代に対応した計画,そしてアフターコロナ時代に貢献する計画へと,大胆に舵を切りながら新しい航路を模索してきた。VR技術を応用した新しい形のグループワークについては,学生が教室に集合して特別な装置を使用して参加する様式だけでなく,学生が個々の自宅から一般的な情報端末を使用して参加する様式にも対応できるものとなるよう,その内容や方式をゼロベースで再検討した。 2022年度には,船舶の出入港作業におけるチームワークを船内の複数の視点で体験することのできるVR教材を作成し,その教育効果や,問題点の分析を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症への学生の罹患事例が富山高専においても断続的に発生している。このため,練習船を利用した乗船実習を本来の形式のとおりに実施できない状況が続いており,さらに陸上の施設を利用した授業や実習についても,感染症の流行状況に応じて特別な様式での実施を常に想定すべき状況が続いている。本研究におては,その中核となる,VR技術を応用した新しい形のグループワークについて,学生が教室に集合して特別な装置を使用して参加する様式だけでなく,学生が個々の自宅から一般的な情報端末を使用して参加する様式にも対応できるものとなるよう,その内容や方式がゼロベースで再検討された。
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今後の研究の推進方策 |
現在,ウィズコロナ時代に対応した新しい様式のグループワークをVR技術の応用によって実現することを目標とし,VR教材のプロトタイプの制作が完了した段階である。学生が教室に集合して特別な装置を使用して体験する形式だけでなく,学生が個々の自宅から一般的な情報端末を使用して体験する形式にも対応したVR教材とシステムを構築し,それを用いたVR訓練を富山高専商船学科の60名の学生を対象として実施し,学生の習熟度をルーブリックに基づいて評価し,分析する計画である。またその結果に基づいてシナリオや教材を更新するというPDCAサイクルによって,大型船の運航の現場に近いチームワークにおけるハードスキルおよびソフトスキルの向上に効果的な訓練方法を解明してく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の流行に伴い,練習船を利用した乗船実習を本来の形式のとおりに実施できない状況が続いる。このため本研究でもVR訓練の計画について,ウィズコロナ時代に対応したものへと修正するべく,シナリオ等がゼロベースで再検討された。これに伴い,VR教材のための映像の撮影作業については,当初の予定よりも延期されて2021年度から2022年度にかけて実施された。その次のステップとなるVR訓練システムの構築が予定よりも遅れており,そのために必要な物品の一部について,購入が2023年度に延期された。
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