研究課題/領域番号 |
20K03202
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
佐藤 綾 群馬大学, 教育学部, 准教授 (00611245)
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研究分担者 |
栗原 淳一 群馬大学, 教育学部, 准教授 (90583922)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 生物教育 / 人間と生物 / メダカ / 遺伝子汚染 / 国内外来種 / 保全 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、子どもが科学的な根拠に基づいて生物多様性の保全について考えるための学習教材を開発することである。そのため、日本全国で絶滅が危惧され保全活動が行われているとともに、様々な生物学的基礎研究がなされているメダカを題材とした学習プログラムの開発を行う。 2021年度は昨年度に引き続き、授業で子どもに提示する基礎的データの収集を行った。昨年度解析したミトコンドリアDNAのCYTB領域の解析に加え、NAD2領域についても解析を行い、群馬県内でメダカの生息が確認された4地点の集団のうち、3地点は関東在来型の個体を含むこと、そのうち1地点からは西日本などの他地域の遺伝子型が確認されなかったこと、もう1地点では在来型とヒメダカが交雑し外来遺伝子の移入が生じていることが示された。 ここまでを踏まえて、中学校理科における「自然と人間」の単元で身近な自然環境の保全のあり方について生徒が科学的に考察して判断する授業を可能にする学習プログラムの作成を試みた。授業中に実験することはできないが、すでにある複数のデータを組み合わせ解釈する活動を通して、課題に対して科学的に考察して判断することを可能にする学習プログラムを作成中である。このとき、題材として地域の生物を扱った場合とそうでない場合とで生徒の自然環境を保全することの重要性の認識に影響があるのか検討するため、本研究で得られたデータを用いた教材と全国的な傾向を扱う教材の2つを作成している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度中に作成した学習プログラムを用いて授業実践を行い、プログラムの効果を検討する予定であったが、授業の時期に中学校での対面での授業が困難な状況となり、効果の検討を行うことができなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
学習プログラムの作成にあたり、メダカの体形質データと行動のデータを合わせて提示する必要があるため、異なる地域由来のメダカの体形質の数量化と行動観察を行い、授業で提示できる形にまとめる。その結果も合わせ、ここまで作成した学習プログラムを改善し、50分の授業で探究型の学習を行えるものにする。また、授業実践のために対照となる学習プログラムも合わせて作成する。 その後、授業実践を行い、作成した学習プログラムを用いた授業を通じ、生徒は探究の過程に沿って学習を進め、課題に対し科学的に考察を行った上で根拠をもとに生物保全のあり方について考えることができるか検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
人件費を計上していたが、感染症対策のために研究室内へのアルバイトの入室が認められなかったため。 旅費を計上していたが、対面での学会が中止となったため。
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