研究課題/領域番号 |
20K03203
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
鎌田 正裕 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (20204604)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | スマートフォン / タブレット / 理数探究 / 理科教育 |
研究実績の概要 |
高等学校における新教科「理数(理数探究基礎・理数探究)」の中で取り上げることのできる、スマホおよびスマホアプリの活用法を開発・提案(例示)することを目指して、研究に着手した。これは、現実には生徒の必要とする実験器具を必要台数確保できる学校がそれほど多くはない中、ほぼ全生徒が所有しているスマホには、種々のセンサー類が組み込まれており、これに既存のアプリを活用することで、生徒の探究活動に有力なツールとなりえることに着目したもので、2020年度は、これまでのスマホの使用例(既存)と理数探究における課題例を調査・収集し、今後の研究に必要なスマートフォンとタブレット端末を選定・購入したた。 課題例等の収集は、理科課題研究で用いられてきた教材、SSHの報告書、その他Web上に公開された実践例を中心に行い、類似の探究活動を行う上でどのような装置・道具が必要となるかという視点で検討した。 また、スマホの活用例(既存)については、特に物理分野では、物理教育学会誌「物理教育」などですでに公表されているため、これらも事前調査の対象とした。さらに、本研究室の先行研究で、スマホで非可聴領域の音を発生したり検出できることが分かっていたため、これを利用した音の屈折実験についても、併せて検討した。 得られた情報は精査の上、今後研究を進めるにあたり、実際に授業で使用される可能性のあるスマホまたはタブレットを選ぶためにも活用し、最終的にはipad/iphone、windowsタブレット、androidスマホ・タブレット数機種を選び、購入することで、次年度の研究環境を整えた。 なお、2020年度の教職大学院の授業の中で、スマホの活用法について時間をかけて大学院生(現職教員を含む)と議論する場が確保できたため、この場を利用して、広い学校種や他の教科でも活用できそうな例を集めることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
スマートフォンの使用例(既存)の収集と理数探究における課題例等の収集は順調に進められた。また、スマートフォンやタブレット端末の選定と購入は完了し、研究遂行に必要な環境は、ほぼ整った。コロナ禍の影響で、一時学生の大学構内への立ち入りが制限され、研究の立ち上げには予想以上の時間を要したが、2020年度は課題例の収集や分析など、比較的オンラインで対応できるものが主であったことに加え、教職大学院の授業の中で、スマホの活用法について時間をかけて大学院生(現職教員を含む)と議論する場があり、当初こちらが想定していなかった活用法も提起されたため、2020年度末の時点では、一部、2021年度に先送りした内容はあるものの、計画全体で大きな遅れは生じていない。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度に検討した結果を踏まえ、スマートフォン内のセンサーと既存のアプリを使用するだけで、どのようなツールや実験法が可能になるのかを示すために、これまでにはなかった新規性の高い活用法を開発し提案する(現時点で一定の見通しの立ったものとして、「スマートフォンのFFTやFunction Generatorを使って電子楽器を作ろう」や「超音波を使った音の実験」がある)。また、これらとは異なる視点で、音を介したインターフェースの開発も行う。具体的には、放射線の検出のように、スマホには組み込まれていないセンサー類を想定し、外付けの機器とスマホの接続方法を検討する。この種のインターフェースとしては、光や電気信号で通信するのが一般的であるが、スマホにはマイクやスピーカーが必ず組み込まれており、これを利用することで機種依存性が出にくく、かつ何らかの誤操作があっても、スマホそのものに悪影響を与える可能性が小さくなるなどのメリットがあることに加え、受け渡しされている信号が音なので、生徒が自分の耳で捉えることができ、機器の動作状況や動作原理を理解しやすいというメリットがあるため、インターフェースの開発については同方法を中心に進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度はスマートフォンやタブレット端末などの購入が主であったため、合計額に端数が生じた。生じた端数は、次年度の物品費に合算して使用の予定。
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