高等学校における新教科「理数(理数探究基礎・理数探究)」の中で取り上げることのできる、スマホおよびスマホアプリの活用法を開発・提案(例示)することを目指して研究を行った。これは現実には多くの学校で、生徒が探究活動に取り組もうとしても必要とする測定機器や実験器具を必要台数確保することが容易ではないこと、またスマホやタブレットが多くの高校生の手の届くところにあるという実情を踏まえたものである。 多くのスマホ等には高性能の液晶(または有機EL)ディスプレイやカメラ、マイク以外にもジャイロや加速度計のように種々のセンサー類が組み込まれている。本研究では、これに既存のアプリを活用することで、生徒の探究活動に有力なツールとなりえることに着目したものである。これまでのスマホの既存の使用例と理数探究における課題例に関する調査・収集およびその有効性についての検討は、研究初年度より継続的に行ってきた。また、スマホの具体的な活用例については、特に光と音に着目し、いろいろな楽器の音色づくり、放射線源を使用しないラジオグラフィーの模擬実験、音声信号による外部機器とのデータ受け渡し(放射線測定器のBeep音を使ったとカウント数の表示・記録)方法、出力信号(電圧)をmicro:bitで音声信号に変換し、それをスマホのマイクで拾ってスマホに取り組む方法、等についても検討を加え、その可能性を確認した。 特に放射線源を使用しないラジオグラフィーの模擬実験については、日本理科教育学会での発表で肯定的な評価を得るとともに、海外の雑誌(Physics Education)に投稿し、掲載された。
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