研究課題/領域番号 |
20K03205
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
富田 賢吾 名古屋大学, 環境安全衛生推進本部, 教授 (70422459)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 安全教育 / 防火防災 / 事故 |
研究実績の概要 |
昨今の大学、研究機関等における火災事故の頻発、および一般市中においても火災が多発していることを受け、防火教育を見直し、より効果的な教育教材、教育手法を開発することを目的とし、今年度は名古屋大学で発生した火災事故を収集・調査し、その件数と原因の分析を行った。過去15年間の小火火災も合わせた火災事故は56件であり、このうち44件は実験中に発生した事故であり、化学物質(引火性溶媒、禁水性物質等)が原因となる事故が25件と最も多いことも大学のような研究機関の特徴であると考えられる。その他、高温物(ヒーター、電気炉等)によるもの、電気(電源・コンセント等)によるものが原因となる火災も発生していた。これら火災の原因を詳細に解析し、事故の原因となる要因の抽出およびその取扱方法も含めた対策を精査し、教育用の教材に具体的な事例と共に加えることで防火のための教育教材を作成した。 また、いくつかの大学における防火教育の実施状況とその教育内容を確認したところ、現状実施されている防火教育は火災避難訓練時の避難連絡や、消火器の使い方の訓練等がほとんどであり、避難時に考えておくべきことや、効果的な消火方法、煙による被害の軽減の方法など、教育として不足している点が多くあった。これらの内容を実際に起きた火災事故の事例および一般の市中における火災事故の事例とも合わせ、火災が起きた際の避難行動や煙による被害の軽減策等の防火教育に必要な事項を抽出した。これらの火災時の行動についても同様に教材化し、1つの教育教材として完成させた。本教材を利用して学内の自衛消防隊向けの防火講習で使用するなど、広く活用を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
名古屋大学における過去15年間の間に発生した小火火災も合わせた火災事故を収集・調査し、その原因を詳細に分析した。計56件の火災事故を主たる起因物および操作方法などを精査することで、教育教材に具体的な事例と共に加える必要のある事例を抽出し、具体的な対策と共に加えた教育教材を作成した。 いくつかの大学における防火教育の実施状況とその具体的な教育内容を確認したところ、現状実施されている防火教育は火災避難訓練時の避難連絡や、消火器の使い方の訓練等がほとんどであり、避難時に考えておくべきことや、効果的な消火方法、煙による被害の軽減の方法など、教育として不足している点が多くあることを確認した。 これらの教育内容と、火災が起きた際の避難行動や煙による被害等を一般の市中における事故の事例も合わせて精査し、耐火構造の建物の仕組みや、防火扉の効果、火災報知器の仕組み、効果的な消火方法などの防火教育に必要な事項を抽出した。 以上の内容を踏まえ、実際に起きた火災事故の事例と合わせ、火災時の行動についても教材化し、1つの教育教材として完成させた。本教材を利用して学内の自衛消防隊向けの防火講習で使用するなど、広く活用を開始した。
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今後の研究の推進方策 |
今後、さらに複数の研究機関等における具体的な火災事故の事例を収集し、その原因を精査し、具体的な対策を含めて教材に追加する。また、同様に防火教育の現状調査を行い、不足している教育等を抽出し、今回作成した教材に追加することで効果的な教材にレベルアップさせる。 また、ビデオ教材が効果的であることを踏まえ、室内での消火器の使用状況のビデオなどの撮影を行い、これまでに作成している室内火災の映像等を合わせ、座学等の講習会でも使用できるように映像教材の作成を行う予定である。 これらの教材を実際に学内の自衛消防隊向けの防火講習および学外における講習などで使用し、教育効果の検証および随時ブラッシュアップを行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究では、複数の大学等における具体的な火災事故事例と、防火教育として実施している内容を調査し、その内容を詳細に確認することを目的の1つにしているが、コロナ禍の中、外部調査が制限されたため、今年度は名大における火災事故の原因調査や一般市中における火災事例、被害拡大事例を収集し、詳細な解析を行うこととした。そのため、主に旅費として当てていた分が次年度以降に繰り越しすることとした。次年度には複数大学における火災事故の調査を再開し、その原因等と、現在抽出している教育内容等の照合し、随時ブラッシュアップを行う予定である。
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