研究課題/領域番号 |
20K03210
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
原田 恒司 九州大学, 基幹教育院, 教授 (00202268)
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研究分担者 |
小島 健太郎 九州大学, 基幹教育院, 准教授 (20525456)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 物理教育 / 問題解決 / 反転授業 / 相互作用型授業 / 熟達者的思考 / 意思決定理論 / 生成AI |
研究実績の概要 |
本研究計画は、大学初年級レベルの物理学の学習において、熟達者的思考(Think like a Physicist, TlaP) の特徴的なパターンを初学者に学ばせるために、 TlaP を模倣するワークシートを開発し、それを用いた授業実践を通して、その学習効果を検証することが当初の目的である。 今までの授業実践で、TlaPを模倣するワークシートを用いた授業実践を行ってきた。学生が使用したワークシートのデータは蓄積しているが、その分析はまだ行っていない。 昨年度、意思決定理論における階層分析法(AHP)を用いて学習者の思考を数値化することによって、ワークシートでの学習を補助することを考えた。この方法では、選択(意思決定)に対していくつかの判断基準がある場合、それらを数値化することによって、言語化しにくい学習者の思考プロセスを客観化することができる。これを学習者が利用することによって、学習者の思考パターンを分析し、また学習者自身が理解を深める事ができると考えた。しかし、その具体的な方法にまでは、残念ながら研究を進めることができなかった。 一方で、今年度は生成AIが急速に普及したことにより、生成AIを学習に役立てるという全く新しい可能性が生じてきた。この研究計画の目的であるTlaP問題解決教材として、今までの延長上で「ワークシート+AHP 補助教材」を用いるよりも、生成AIの利用を前提としたものを考えることの方がより有効ではないかと考え始めた。この考えに基づき、生成AIが物理学のような分野でも学習者のチューターの役割を果たすことができるのかを調べる準備をした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
大学における管理職としての業務の負荷が大きく、研究に割ける時間が極端に制限されている。 授業実践を行い、ワークシートのデータを取得するのが精一杯という状況で、研究課題についてじっくりと考えることがほぼできていない。
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今後の研究の推進方策 |
生成AIを利用した大学初年級レベルの物理学の問題解決の可能性を実験的に探り、生成AIの利用を前提とした教材作成に取り組む。特に、適切なプロンプトを開発し、それを学生が用いることによって、実際に熟達者的な思考を学習することができるようになるのかを検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
ここ数年の新型コロナウィルス感染症の流行によって、旅費等の研究費を使用できない状況が続き、研究助成金の使用が累積的に滞っていたためと、大学における管理業務が多忙なため、旅費もシステム開発も行うことができなかったのが主な理由である。 今後は助成期間の延長を視野に入れつつ、生成AIの利用を前提とした研究開発を行う予定である。
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