本研究で提案するプラスチック検出器を用いた放射線教育は,複雑な回路を要しないので構造が簡単であり取り扱いが容易,そして可視化原理が安定している特徴を持つ。この提案するプラスチック検出器を用いた放射線教育方法は高校,大学等の放射線教育の授業等で取り入れられてきているが,小・中学校では,「劇物」である薬品を使うため安全性の面で敬遠されている。そこで,本研究では,溶けやすさを調整することで危険性を低減させ,小・中学校でも利用可能なプラスチック教材を開発する。さらに,教育モデルの構築を行うことで,小・中学校での利用普及を目指している。 プラスチック検出器は,ADCモノマーとIPPという重合開始剤の混合溶液を電気炉で加熱することで製造できる。本研究では,製造後のプラスチックに紫外線を照射することでプラスチックの表面改質を行い,溶けやすさの調整を試みた。また,エッチング溶液にエタノールを添加することでさらに溶けやすくすることが期待できるため,その両方の工程を取り入れた実験を試みた。これにより,従来よりエッチピット直径を大きくできる(溶けやすい)条件が得られた。特に最終年度では,様々なパターンを考慮した教育モデルの構築に取り組んだ。発熱剤を利用することで直火を使用しない実験モデルや,「劇物」でない低濃度の薬品を利用する実験モデル等を提案した。そして,これまで得られた成果をまとめて論文投稿および学会発表を行った。
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