研究課題/領域番号 |
20K03221
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研究機関 | 独立行政法人国立科学博物館 |
研究代表者 |
洞口 俊博 独立行政法人国立科学博物館, 理工学研究部, グループ長 (00238768)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 科学教育 / 天文 / 宇宙物理 / 光学赤外線天文学 |
研究実績の概要 |
さまざまな問題を抱える現代社会において、自立した人間として主体的に判断し、多様な人々と協働しながら新たな価値を創造する人材の育成は、教育界喫緊の課題となっており、生徒が知的好奇心を持って自然の事物・現象に接し、その中で得た気づきから疑問を形成して課題を設定し、探究の過程全体を主体的に遂行できるような指導の重要性が強く指摘されている。宇宙には非常にシンプルな法則性を持つ素材が多数存在し、科学的な自然の理解に最適であることから、本科研費では天体観測を含む天文学を題材に、学習者が主体的に、そしてお互いに対話することによって問題の本質を捉え理解を深める、アクティブラーニングの手法を用いた科学教育プログラムの開発を行う。 初年度の今年は、金星の満ち欠けをテーマにした教育プログラムについて、これまでに得られている観測画像を元に開発を行うとともに、新たな観測画像の取得を行った。国立天文台と協力して開発している、観測画像から天体の明るさや色、位置情報などを正確に測定できるパソコンソフト"マカリ"を用いて、金星の見かけの大きさから相対的な距離を求め、太陽からの離角の情報とあわせて金星の軌道を描き、内惑星の位置と満ち欠けの関係を具体的に実感できるプログラムを制作することができた。また、新型コロナウィルスのために対面の授業や講習会が難しい状況下で、生徒や指導者を対象にプログラムを実践,評価,広報するにはどのような方法が適切であるかについて検討を行うとともに、自宅学習のための"マカリ"の解説動画や"マカリ"の機能追加についても検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
天体観測に基づいた科学教育プログラムについて、具体的な開発が順調に進行している。また観測画像の取得も進められている。新型コロナウィルスの影響で、研究協力者との打ち合わせや集中的な作業会、実践評価等が当初予定していたように行うことができなくなっているが、ネットワーク会議ソフトを用いて打ち合わせや検討作業を行っている。このまま流行が続くことも想定し、ネットワーク環境下でどのように実践,評価,広報するかについても検討を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の開発プログラムを土台として、学習者が問題の核心を把握し、立てた問いに対して周囲の人々と協働しながら解決に向かう「主体的・対話的で深い学び」がより実践できるようなプログラムの開発を進めるとともに、その他のテーマの教育プログラムについても開発を行う。それらは講習会やワークショップを通して評価、改良をはかるとともに、ネットワークを通した実践,評価,広報についても検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 新型コロナウィルスの影響により、研究協力者との打ち合わせや集中的な作業会、ワークショップや講習会を含む実践評価等が当初予定したように行うことができなかったため。 (使用計画) 次年度の助成金とあわせて、研究協力者の打ち合わせ等旅費に使用するとともに、プログラムの開発、評価に必要なワークショップや講習会の回数を今年度実施できなかった分も補えるよう増やし、それらの費用にあてる。
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