本年度は高等学校での授業プログラムの実践とその分析を繰り返してプログラムを完成させた.特に仮説の設定,計画の立案,振り返りに焦点をあて,探究的な学習活動の一連の流れを習得できる学習プログラムになっているかどうかを検討した. 生徒は3,4名からなる班に分かれて探究活動を行った.全ての班が,課題解決のため複数の実験を立案,実行し,その結果から何らかの結論を導き出すことができた.しかし適切な対照実験を行うことができず課題解決に至らない班や,実験をよく観察できておらず実験条件の修正ができない班,実験結果を適切に解釈できず新たな仮説をたてられなかった班なども多くあった.それらの生徒に対しても,プログラムの最後に他の班と活動内容を共有ことで,課題解決には多様なアイデアやアプローチがあることに気づかせることや,見通しとふり返りを繰り返しながら,真実を明らかにしていくスパイラル的な探究活動の重要性を実感させることができた.また,普段の学習内容が実社会実生活で活用されていることを感じさせることを通して,知識の獲得の重要性にも気づかせることができた. 生徒への質問紙調査では,ほとんど全ての生徒が「興味深かった」,「科学への興味が高まった」,「探究することの楽しさを知った」と回答した. 以上の結果から,生徒が個々のテーマで本格的に探究活動を始める前段階において,短時間で探究的な学習活動の一連の流れを体験的できる学習プログラムを作成することができたと考えている.
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