研究課題/領域番号 |
20K03237
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
高橋 敬子 立教大学, 社会学部, 特定課題研究員 (70770634)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 気候変動教育 / 能力開発 / 地域 |
研究実績の概要 |
本研究は、地域で効果的な気候変動対策を企画・実施できる人材育成のために必要なコンピテンシー(応用可能な知識と能力、意欲の組合せ)を特定し、人材像を設定したうえで、それらの条件を満たすための気候変動教育(以下、CCE)能力開発プログラムを開発することを目的として実施するものである。 初年度は、日本とオーストリアのCCE能力開発プログラムの比較分析の他、能力開発プログラムに必要なコンピテンシーや人材像を設定するための海外調査を予定していたが、コロナの影響で海外調査は実施できなかった。 そこで、1)過去にインタビュー調査を実施した日本のCCE事例と、オーストリアの事例を分析して課題やニーズを抽出し、2)1)で抽出した点を、過去に実施したCCE能力開発プログラムに取入れ、3)福井県上新庄市市民、千葉県流山市の議員を対象とし、地域でできる効果的な温暖化対策を考えるワークショップを実施した。4)上記の実践では、新たに学習者の自己評価用のアンケート調査の質問項目を修正し、参加者に実施してもらい、改善を図った。また、各地域の受入側(主催者)と打合せを実施し、各地域のニーズに合わせた分野を設定、情報収集した上で、プログラムの開発を行った。 プログラム開発では、1.既存の海外能力開発プログラムを参考にし、産業技術総合研究所の歌川学氏との協働により学習内容を設定し、2.各地域の協働主体の意向を踏まえたワークショップに必要な分野の詳細な情報の収集を行い、地域独自の情報や視点を組み込んでプログラムを改訂し、効果を評価して改善を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に予定していたオーストリアで地域の気候変動対策を立案・実施している「気候エネルギーモデル地域マネージャー」への質問紙及びインタビュー調査については、コロナの影響で渡航できなかったため、地域マネージャー育成に必要な教育プログラム(学習内容や人材像の設定、学習手法等)を特定することはできなかった。その代替策として、2年目、3年目に予定していた地域でのCCEプログラムの開発と実施を先行して実施したため、おおむね順調に進展していると判断した。具体的な実施内容としては、1)過去にインタビュー調査を実施した日本の気候変動教育事例と、オーストリアの事例を分析して課題やニーズを抽出し、2)1)で抽出した点を、過去に実施したCCE能力開発プログラムに取り入れ、3)福井県上新庄市市民、千葉県流山市の議員を対象とし、「地域でできる効果的な温暖化対策を考えるワークショップ」を実施した。4)上記の実践では、新たに自己評価アンケート調査の評価項目を修正し、パイロット調査として参加者に実施してもらい、改善を図った。また、各地域の協働主体と打合せを実施し、地域独自の情報や視点を組み込んでプログラムを改訂し、実施して改善を行ってきた。
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今後の研究の推進方策 |
オーストリアでの「気候エネルギーモデル地域マネージャー」への質問紙及びインタビュー調査の実施及び、その結果を踏まえてCCE能力開発プログラムに生かすことを予定している。 コロナの影響で渡航できない場合は、代替策として3年目に実施する予定であったCCE能力開発プログラムを、当初予定していたよりも多くの地域で、より多くの対象者向けに実施し、改善することを考えている。2年目は、群馬県環境アドバイザー連絡協議会温暖化・エネルギー部会との協働でプログラムを実施することが決定している。その他にも、他地域で同様に教育プログラムの実施を希望する団体との実施内容の交渉を行う予定である。 具体的には、1)CCE能力開発プログラムの実施を希望する地域団体の募集、2)対象地域の主催者側(住民)と打合せし、気候変動の影響等に関する現状や、CCEプログラムのニーズの調査、3)各地域のニーズや現状に合ったプログラムの企画・実施、4)プログラム参加者によるプログラムの評価、5)参加者からの評価等を基に、プログラムの改善、を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナの影響で、初年度に予定していたオーストリアへの海外調査が実施できなかったため、海外調査関連の費用が余剰となった。これらの費用は、引き続き海外調査費用として使用する予定だが、今年度に海外調査の実施が難しい場合は、国内で実施するワークショップの地域数を増やし、その準備や実施に係る費用として使用する予定である。
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