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2020 年度 実施状況報告書

植物の表現型可塑性に着目した環境教育教材開発のための基礎研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K03246
研究機関群馬大学

研究代表者

佐野 史  群馬大学, 教育学部, 教授 (30313018)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードオオカナダモ / 発根 / 頂芽優勢 / 冬季の形状変化
研究実績の概要

オオカナダモ(Egeria densa)のたくましさを示すことで外来生物の移入について考える環境教材を開発するため、オオカナダモの発根と腋芽の成長、冬季の形状変化を人為的に促す方法の確立を試みた。
発根については、市販のエアーポンプで水槽内に通気することが有効である可能性を見いだした。通気開始後一週間程度で、2~4cmの根が腋芽のある節から1~4本ずつ生じるているのが目視で観察できるようになった。発根した節の腋芽は必ずしも顕著に成長しているわけではなかった。
オオカナダモの腋芽は20cm程度の個体で1個体につき数個が同じような間隔で認められるため、腋芽が生じている節の間隔を調べたところ、およそ10~15節ごとに腋芽が発達するという規則性があることがわかった。腋芽の成長は頂芽を切り落とすことで促進され、頂芽を切り落とした部位にオーキシンを含む軟膏をつけることで促進されなくなったことから、陸上の植物同様にオオカナダモも頂芽優勢を示すとともに、その性質が頂芽からのオーキシンによって制御されていることが確認できた。しかし、腋芽の成長と発根との関係ははっきりしなかった。
北側の窓際の水槽で栽培しているオオカナダモでは、冬季になるにつれて葉の縦横比、葉の色、葉の丸まり方が異なる形状に移行する。この状態変化を人為的に引き起こすため、人工気象器で日長(短日条件、12明-12暗、10明-14暗)と温度(12℃)を調整して栽培した。しかし、上述の形状変化は起こらず、節間が短縮する変化が見られた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

栽培用の水槽が単細胞緑藻に汚染されることが多く、思うように実験が進まなかった。対策として、栽培容器等を次亜塩素酸ナトリウムなどによって処理することを考えている。

今後の研究の推進方策

通気により発根が促されることがわかったため、通気量と生じる根の本数、長さとの相関を調べ、発根に効果的な通気方法を確立する。また、発根の促進と切れ藻の生じやすさとの関係を調べ、オオカナダモの栄養繁殖の戦略に関する教材化を試みる。頂芽優勢の打破についても同様の教材化を考えるほか、高等学校における頂芽優勢の教材としての活用を目指す。休眠芽の発生については、温度(低温)、日長(短日)以外の環境要因を調べる。また、オオカナダモの光合成の特徴の一つとしてC3回路とC4回路を環境条件によって使い分けることが知られているため、学校の実験室でも可能な、使い分けを起こす方法を特定する。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍で学会参加がなかったため、また「現在までの進捗状況」に書いたように、研究がやや遅れたため。繰り越し分は主に栽培容器の新規購入に使う予定。

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公開日: 2021-12-27  

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