研究課題/領域番号 |
20K03249
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
磯部 由香 三重大学, 教育学部, 教授 (80218544)
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研究分担者 |
平島 円 三重大学, 教育学部, 教授 (80390003)
市川 俊輔 三重大学, 教育学部, 准教授 (50781118)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 科学的リテラシー / 家庭科 / 食生活 / 実験 / カフェイン |
研究実績の概要 |
昨年度、これまでに報告されている文献を参考に「科学的リテラシー」の3つの枠組みを「科学的能力」「科学的知識」「科学に対する態度」に設定した。これを元に作成した調査項目を用いて、大学1年次の科学的リテラシーの現状について分析を行った。その結果、「科学に対する態度」の側面についての習得率が低く、その下位項目である「科学への興味・関心」及び「資源や環境に対する責任」の領域の得点が低かった。よって、これらを向上させるための題材が必要であることがわかった。 そこで、今年度は、家庭科食生活分野の学習内容に着目し、科学的リテラシーのうち「科学への興味・関心」を高める題材についての検討を行った。高等学校家庭科教科書(家庭基礎)、中学校・高等学校家庭科の副教材および食を科学的な側面から取扱った関連書籍を分析した。その結果、「科学に関する興味・関心」を向上させる学習方法である「実験的学習」および「調べ学習」に該当する多くの題材があることがわかった。 次に、これらの題材の中からカフェインを取り上げ、計3時間の授業開発を行い、大学1年生を対象に実践を行い、「科学への興味・関心」の向上に対する有効性について検討を行った。本授業受講後の参加者へのアンケート調査の結果、科学的な情報の入手、評価、活用に関わる食生活リテラシーの重要性は認識されており、「科学への興味・関心」についての4つの構成概念において受講者の意識が向上していた。よって、本授業は「科学への興味・関心」を高めるのに有効であるといえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は研究計画調書の②家庭科の題材から学ぶ「科学的リテラシー」教材の開発、③教員養成課程で共有できる学習プログラムの検討、④開発した教材の有効性の検証の3項目を課題として設定していた。 ②については、中・高家庭科の内容を中心に広く科学的リテラシー教育に適した題材の選抜し、具体的な事例を整理した。③については、学習プログラムの作成までは至っていない。 ④については、カフェインを事例として授業について有効性を示した。以上のことから、本研究はおおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
家庭科において科学への興味・関心を高める題材を用いた授業をさらに開発する。また、教員養成課程で共有できる学習プログラムを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度「科学的リテラシー」を向上させる教材については、1事例しか完成させることができなかった。また、学習プログラムの開発についても、ほぼ着手できなかった。そのため、次年度も引き続きこれらの課題を検討するために、経費が必要となる。
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