研究課題/領域番号 |
20K03251
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
堀 一成 大阪大学, 全学教育推進機構, 教授 (80270346)
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研究分担者 |
坂尻 彰宏 大阪大学, 全学教育推進機構, 准教授 (30512933)
中川 紀子 大阪大学, スチューデント・ライフサイクルサポートセンター, 特任助教(常勤) (50379278)
北沢 美帆 大阪大学, 全学教育推進機構, 講師 (60759158)
藤田 愛 (東山愛) 大阪大学, スチューデント・ライフサイクルサポートセンター, 特任助教(常勤) (70649748)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | アカデミック・ライティング / 科学教育 / 教材開発 / 学習者コーパス / 自然言語処理 / 長単位 / 形態素解析 / 談話分析 |
研究実績の概要 |
本研究は、高校生と大学生の科学アカデミック・ライティング能力の向上をはかるため、学習者のライティング成果を収集することで学習者コーパスを構築し、そのコーパスをデータマイニングした成果を活用し、従来にない有効な教材開発を試みるものである。特に、「ダメな科学ライティング」例の持つ教育効果に着目し、学習者自身の気づきによる高い学習効果が得られることを期待するものである。そのダメ例の作成にあたり、学習者が書く「科学的にダメな点」を自然言語処理や機械学習などの技術により抽出することを試みる点が大きな特徴である。 令和4年度は、令和3年度までに構築した教材を活用することに特に注力した。令和3年度末に上梓した指導書籍「ダメ例から学ぶ 実験レポートをうまくはやく書けるガイドブック」を主教材とし、高校生を対象とする講習会等の場で紹介するなどして教育実践に活用した。また、高校生や学部生にアカデミック・ライティングを指導する機会のある大学院生を対象とした研修時にも参考情報として紹介した。 加えて、これまでに引き続き、文書の長単位に基づく形態素解析の新しい手法(国立国語研究所が開発した UD Japanese GSD + GSDLUW r2.9)の研究、構文特徴の抽出法研究、多数の文のつながりの構造を把握する談話構造の分析手法研究などの自然言語処理活用法研究を進行させた。 これまでの成果は、令和4年度中の情報処理学会および大阪大学専門日本語教育研究協議会における発表により、公表している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度は、これまで得られた研究成果基づき作成した教材を教育実践の場で活用する作業で大きく進展した。令和3年度末の2022年3月に上梓した、科学実験レポート作成方法のガイドブックを様々な教育実践に活用した。ガイドブックは、ダメなレポート記載例を紹介し、その改良方法・改善例を示すことで、よりよい科学アカデミック・ライティング法を習得できる構成の書籍であり、高校生や学部1年生に参考教材として直接紹介することに加え、学部生の学習をサポートする大学院生ラーニング・サポーターに対しても、研修時に紹介した。さらに、科学ライティングをする際にも重要となる、地理情報システム(GIS)技術について、教材を開発し、学部高学年次生向けの新科目を開講するなど、教育法研究の対象を広げる実践をおこなった。これらの成果を学会や関連教育研究評議会で発表した。このように研究成果を教育活用する点において大きな進展があったといえる。 令和4年度は、新型コロナウイルス蔓延の影響は軽減されたが、大学および高校の学習者の個人情報であるライティング成果の研究利用について、当事者の許可を得ること、実際のデータを収集すること、いずれの作業も十分進行できなかった。これにより、教材作成の基盤となる学習者科学ライティング情報の収集に引き続き遅れが生じている。 以上の状況を総合的に勘案し、「おおむね順調に進展している」とする自己評価となった。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は、研究の完成に向け、ここまで得られた研究成果や作成している教材の取りまとめをおこなう。遅れの出ているライティング成果データ蓄積作業とその成果の分析も引き続き進展を図る。また、令和3年度末に作成した書籍教材の成果を参考に、これまで作成済みの動画教材の改良やWebベースのeラーニング教材の新作など、形態の異なる教材の作成作業へ進行する予定である。加えて、令和4年度後半から大きく技術が進展している生成系人工知能システムに着目し、指導教材の一部として活用できないか、研究を試みる。新たに研究を補助してくれる者との連携を模索する。研究代表者と研究分担者との打ち合わせを緊密にし、研究完成に向け作業を進行する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 令和4年度は、新型コロナウイルス蔓延の影響が軽減され、大学学部実験授業や大阪大学SEEDS活動を含む高校生対象科学教育の活動状況が平常に戻ることが多くなった。しかし、学習者の個人情報であるライティング成果の研究利用について、当事者の許可を得ること、実際のデータを収集することが必要であるが、いずれの作業も十分進行できなかった。このため、作業補助者を雇用し作業を進行するための旅費・人件費・謝金の執行ができなかった。また本来令和4年度を終了年度としてデータを整理しまとめるために必要な物品購入を計画していたが、研究期間延長のため、購入しなかった。以上の事項を主な理由として、次年度使用額が生じた。 (使用計画) 令和5年度は、ここまでの作業で完成した教材等データを整理しまとめる必要がある。そのためのネットワークストレージシステムの購入や大規模計算機システム利用料金に使用する予定である。可能な学習者科学ライティングデータの収集は継続するため、環境を整備し、作業協力者を雇用し、データ蓄積作業を推進する費用も執行する計画である。さらに新たに試みる生成系人工知能システムを利用するための、クラウドサービス利用料も支出する予定である。また、令和5年度は成果発表の学会等がほとんど対面開催となる予定であり、旅費や学会参加費のその他費用も執行する予定である。
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