研究課題/領域番号 |
20K03255
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
全 炳徳 長崎大学, 情報データ科学部, 教授 (10264201)
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研究分担者 |
渡邉 英徳 東京大学, 大学院情報学環・学際情報学府, 教授 (00514085)
瀬戸崎 典夫 長崎大学, 情報データ科学部, 准教授 (70586635)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 平和教育 / バーチャルジェネレーション / デジタルネイティブ / VR / AR |
研究実績の概要 |
戦後75年間,長崎や広島のヒバクシャたちによる「講話や被爆証言による平和・教育活動」は,効果的かつ積極的に行われ,2017年度のノーベル平和賞を受賞したICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)の活動の根源となった.彼らの活動はデジタル世代に向けて貴重な前例であり,新世代・バーチャルジェネレーションのための平和・教育活動の模範でもある.新世代のポストモダンの考え方や思想及び3Dに対する感覚的な応答能力など,スマートフォン世代に平和を希求する心を継承させる方法として,平和・教育活動のコンテンツを拡張・仮想化(AR・VR)した「平和学習の新たなスキーム」を考案・実践することが本研究の概要である. 本研究の初年度である2020年度はVRコンテンツの完成度を上げることを目標としており,原爆当時の被害を物語る役割を果たしてきた平面写真のバーチャル化を通して,戦争の被害をボリューム感あふれる画像や映像としての力を確認することにある. 特に,2020年度は今までの2回にわたる萌芽研究により作成されたVRコンテンツのゴーグル化を目指すとともに,学校現場で使えるシステムの試作と授業実践の可能性を打診することであった.そこで,コンテンツのゴーグル化を完成するとともに,コンテンツの利用範囲をVR画面の提示からVR画面の操作にまで広げる試みを行なった.VR画面の操作は自ら操縦桿(LogicoolのG-PF-YS,フライトコントローラー)を操作し,被災地の上空を飛行するもので,長崎市内のF中学校にてシステムの試験的な授業を実施することができた. 試験的な授業実践からは貴重な結果を得ることができた.特に,授業前後のアンケート調査から「VRコンテンツを体験的に操作することで,学習への意欲や関心が高まったものと推測される」などと多くの知見を得ることができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究は順調に進んでいる.コンテンツのバージョンアップもVR化や実体験のためのシステムの試みも予定通りに進展している.今年度も,学校現場のコロナの進行状況を見ながら,授業実践を行う予定である.
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今後の研究の推進方策 |
今年度においては研究で得られたデジタルコンテンツの学校現場での活用において,コロナ対策を徹底した上で授業実践を行なっている.2021年度も同様に,バージョンアップしたコンテンツの授業実践を学校現場にて行う予定であるが,ココナの状況によっては変更せざるを得ない状況になることも予想しておきたい. なお,VRコンテンツの拡張性についても試みる予定であり,スマートフォン世代に対応したコンテンツの拡張可能性を打診する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者の研究遂行のための計画の中,分担者にお願いしている授業等への助言のための使用予定額にコロナ禍の中,現地に出張できない予期せぬことがあったために,次年度使用額に差が生じた.完成年度まではこれらの問題は解決できるものと考えている.
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