研究課題/領域番号 |
20K03258
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研究機関 | 白百合女子大学 |
研究代表者 |
石沢 順子 白百合女子大学, 人間総合学部, 准教授 (40310445)
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研究分担者 |
大貫 麻美 白百合女子大学, 人間総合学部, 准教授 (40531166)
稲田 結美 日本体育大学, 児童スポーツ教育学部, 教授 (30585633)
椎橋 元貴 (椎橋げんき) 白百合女子大学, 人間総合学部, 准教授 (10788938)
渡邉 淳 金沢大学, 附属病院, 特任教授 (10307952)
佐々木 玲子 慶應義塾大学, 体育研究所(日吉), 教授 (80178673)
奈良 典子 実践女子大学, 生活科学部, 准教授 (40844840)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | STEAM教育 / 健康教育 / コンピテンス基盤型教育 / 幼児 / 児童 |
研究実績の概要 |
日本の現状を把握するため、小学校における健康教育の内容を整理し、体育科を中心とした指導法について検討した。その結果、カリキュラムマネジメントを行った上で他教科等との連携を活用することにより様々な形での健康教育の可能性があることが示唆された(白百合女子大学紀要)。一方、健康教育とSTEAM教育または教科間連携を関連付けた国内の学術研究は現時点では見当たらず、実践も運動面に限定されていたため、改めて本研究の意義が確認された(JSSE2020にて発表)。次に、海外の健康教育に関する教育課程やコンピテンスの記述例について文献調査を行ったところ、独立科目が設定されている場合と保健体育の中に組み込まれている場合があった。また、幼児期から児童期まで連続した基準が示されていたり、教科横断的に取り入れられていたりする場合もあることが明らかとなった。幼児期・児童期の子どもが自らの健康を保持・増進するために必要なコンピテンスについては、研究メンバーの専門領域の視点から検討を行った(白百合女子大学初等教育学科紀要)。 保育者・教育者を目指す学生を対象に、STEAM教育を活用した健康教育に関する講義の受講と教材作成・発表を行ない、成果を検討した。受講前はSTEAM教育への認知度が低かったものの、健康教育における活動例を学び、学生自身が教材を考え、発表し合う活動を通して、STEAM教育の利点や活用方法について考えを深めたことがうかがえた。また、対面でのプログラム実施が難しい場合の対応策として、オンライン型の幼児向け教育プログラムの成果と課題について保育者を対象に聞き取り調査を行った。その結果、幼児の直接体験を担保し、外部講師と保育者が協働するプログラム計画が求められることが示唆された(日本保育学会にて発表予定)。今後はこれらの知見を基に日本の状況に合わせたコンピテンスやプログラムを検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度は新型コロナウイルス感染症蔓延により、対面での打合せや活動ができなかったため、Web上で打合せや情報交換などを行い、報告をまとめた。海外の学会で関連研究の情報収集を行う予定であったが、学会が延期やオンライン開催に変更となったため、国内外の健康教育について文献調査を中心に実施し、論文や学会発表として成果を公表した。作成した教育プログラム案については、2021年度に試行・改善するとともに、オンラインでも実施可能なプログラムを含めて検討する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度に得られた国内外の健康教育の状況に関する情報を基に、日本の幼児期から児童期における健康教育で育成を目指すコンピテンスについて、研究者間で意見交換しながら整理を行う。また、当該のコンピテンスが育成されているかどうかを測るためのルーブリックについても併せて検討を進める。 考案した教育プログラムについては、各専門領域(統括:石沢、体育:佐々木、自然科学:大貫・稲田、医学:渡邉、栄養:奈良、美術:椎橋、言語活動:原口、研究協力者として幼児教育:鍜治)の視点から内容の妥当性を精査した上で、幼児・児童を対象に試行する。プログラム実施にあたっては、その実効性を検証するとともに、実施内容や方法等の改善を図る。なお、2020年度は研究協力者であった原口を2021年度から研究分担者に変更し、プログラムの考案や実施の分担をすることとなった。 現時点では、幼児対象の教育プログラムは保育所や幼稚園等の保育施設において、児童対象の教育プログラムは児童館ならびに研究代表者の所属する大学で行う地域連携活動の一環として実施する予定であるが、新型コロナウイルス感染症の蔓延により、オンラインでの実施となる可能性も踏まえ、オンラインでも対応可能なプログラムを含めて検討する。 また、STEAM教育を活かした健康教育についての理解者・実践者を増やす活動の一環として、引き続き保育者・教育者を目指す学生を対象とした講義や活動の実践機会を設け、その効果の検証や実施方法の検討等を行う。 本研究の成果は保育学会、日本体育・スポーツ・健康教育学会、STEM2021Conference等の国内外の学会で発表するとともに、紀要等にまとめて報告する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
企画当初は海外での学会参加や対面での打合せの旅費を予算に組み込んでいたが、新型コロナウイルス感染症蔓延の影響により、当初発表予定だったSTEM2020Conference等が2021年度に延期されたため繰越が生じた。 STEMConferenceは2021年度にオンラインで開催されるため、そちらに参加・発表する。対面でのプログラム実施は今後も難しい可能性があることから、繰越分でオンラインでの実施・参加に対応するための機材やソフトを購入する予定である。 また、2021年度から新規共同研究者として原口が加わる予定のため、当初、支払い請求書(2021年2月申請)に記載していた研究分担者への配分額を変更して、原口にも分配する計画をしている。
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