研究課題/領域番号 |
20K03264
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研究機関 | 佐世保工業高等専門学校 |
研究代表者 |
川崎 仁晴 佐世保工業高等専門学校, 電気電子工学科, 教授 (10253494)
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研究分担者 |
高田 英治 富山高等専門学校, その他部局等, 教授 (00270885)
吉木 宏之 鶴岡工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (00300525)
須田 義昭 石川工業高等専門学校, その他部局等, 校長 (20124141)
出口 米和 群馬工業高等専門学校, 物質工学科, 教授 (20300535)
河野 晋 有明工業高等専門学校, 創造工学科, 教授 (30270375)
上野 崇寿 大分工業高等専門学校, 電気電子工学科, 准教授 (30508867)
高比良 秀彰 佐世保工業高等専門学校, 電気電子工学科, 准教授 (80249896)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 異常天候の予測 / 大気電界変化 |
研究実績の概要 |
令和2年度は、大気電界や空地電流を石川高専(石川県)と佐世保高専(長崎県)、および崇城大学(熊本県)の観測点にて同時継続的にモニターし、波形について電圧値の増減やピークの時系列などを比較した。 (1)絶縁物(テフロン)製の支柱により支えられたステンレス電極および接地電極により構成される地表面電位計測装置を作製した。ステンレス管は市販のステンレス管を購入し、絶縁棒はテフロン棒として佐世保高専および石川高専において作製した。作製した測定装置を、佐世保高専および石川高専の屋上に設置した。佐世保高専では実験棟の屋上と、専攻科棟の屋上に、石川高専には、簡易型測定装置とルーフタワーを使用した測定装置を2台設置した。(2)ステンレス電極に同軸ケーブルを接続し、接地電極との間で発生する電圧を電圧計で計測した。(3)計測したデータを一定時間毎(1分~10分程度)に計測した。計測データをデータロガーに保存するとともに、佐世保高専及び石川高専へ送信、情報共有した。また、計測波形について電圧値の増減やピークの時系列などを比較し、更に気象情報とともに解析した。(4)解析結果から、次のことがわかった。①地震前には、正の方向への優位な電位変化がある。これは、大地の剪断応力によって発生したイオンによるものと考えられる。②落雷や大雨をもたらす積乱雲の接近でも、電位変化が起こる。落雷時には電位は負になることがある。③降雪時には負の方向への電位変化が起こる。④地震の時の地面の応力を模擬した、石の剪断(こすり合わせ)でも同じような電位変化が起こった。これらの変化は、地震や降雨時前の積乱雲の接近で起こるが、電位変化のパターンからどのような気象変動が起こるかは確実には分からなかった。 (5)簡単な装置をくみ上げることで、地震や豪雨、豪雪、落雷を学習する装置として利用できる可能性があることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、地表面電位計測装置を複数台作製し、石川高専と佐世保高専に設置し計測を開始した。その結果からある程度有益な成果が得られた。しかしながら、全国の高専・大学のうち10地点への設置の了解は得られたものの、新型コロナウイルス感染拡大等の影響で設置完了はできていない。今後は、コロナ禍が収まった後にできるだけ早急に了解が得られた全国の高専等に地表面電位計測装置を設置し、同時計測を進める予定である。
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今後の研究の推進方策 |
(1)今後、協力校(全国の高専等)に地表面電位計測装置を設置する。そして、拠点校(石川高専および佐世保高専)において協力校のデータを収集し、日本を網羅する電位変化分布データを作製するとともにそれを表示(可視化)し、高専全体で電位変化を観測する予定である。 (2)これらの結果に、地震のメカニズムや被害等に関する情報を加えた新しい工学教育システムを構築する。これを各校のカリキュラムや出前授業に加え、地震に関する工学的教育に利用する。また、可能であれば新しい災害予知システムとして利用できないか評価・検証する。(3)同様な装置を、各高専で協定を結んでいる海外の大学等に連絡を取り、装置の設置と教育システムの導入を依頼するとともに、協力いただく。(4)他高専の協力校に地表面電位計測装置の設置依頼を行い、できるだけ多くの観測地点でデータ収集ができるように準備し、装置そのものは作製を済ませており、コロナ禍が収まった後にできるだけ早急に設置を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究では、他の高専や大学において装置を設置する必要がある。しかしながら、昨年度はコロナ禍における出張の自粛によって、設置にかかる旅費や物品費が大幅に余った。本年度は、コロナ禍による出張自粛が少なくとも後半には明けることが予想されるため、予定通りに使用できると考えている。
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