研究課題/領域番号 |
20K03269
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
中島 雅子 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (80758342)
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研究分担者 |
清水 誠 国際学院埼玉短期大学, その他, 教授(移行) (30292634)
松本 伸示 兵庫教育大学, その他部局等, 名誉教授 (70165893)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 自己評価 / OPPA / 教師教育・教員養成 / 学習・授業改善 / 資質・能力の育成 / 主体的に学習に取り組む態度 / 学習と指導の機能を持つ評価 / 指導と評価の一体化 |
研究実績の概要 |
令和3年度は、昨年度に引き続き、OPPAの3つの「問い」が、資質・能力の育成を促すその要素と構造の解明に取り組んだ。主に次の3点である。 (1)「学習と指導と評価の一体化」を可能にする授業の開発:具体的には、OPPシートへの教師によるフィードバックの効果について、東井義雄と庄司和晃の研究に注目し、フィードバックに必要な要素の抽出、分析を行った。その結果、フィードバックの機能として① 理科の「見方・考え方」への気づきを促す。② 「学習目標」の形成の促進。③ 子どもたちとの信頼関係を育む。④ コメントによる教師の「自己評価」による授業改善の4点を明らかにした。また、OPPA論が教師の教育観の変容に与える効果についても、その論点を整理した。これらついては引き続き研究を進める予定である。(2)OPPA論に基づく「自由試行(messing about)」を活用した授業開発:具体的には,小学校理科においてOPPA論に基づき自由試行(Messing About)を導入した授業を行い,「学習目標」の形成に着目してOPP シートの記述を分析した。その結果,次の2 点が明らかとなった。①OPPシートが自由試行による学習者の概念や考えの認知過程を可視化することで,学習者が自ら「学習目標」を見出すこと。②自由試行により見出した「学習目標」が,OPPシートの思考や認知過程の内化・内省・外化のスパイラル化を促す機能により,質的に向上する効果である。(3) 主体的に学習に取り組む態度の評価:OPPA論に基づく「学習としての評価(Assessment as Learning)を活用した授業について、実践を分析し要素を抽出した。 以上は、「第6回OPPA研修会」を開催し、その成果を発表すると同時に、ワークショップ形式でそれらを検証した。これらの成果は、日本理科教育学会などにて、学会発表及び論文として発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
教師によるOPPシートへのフィードバックの効果について、学習者の資質・能力の育成を促すと同時に、教師の専門性を高める効果があることを明らかにした。さらに、昨年度に引き続き「第6回OPPA研修会」は、オンライン開催に変更し、今年度は「『主体的に学習に取り組む態度』の評価」をテーマに開催した。これらの成果について発表、検討することができたのは大きな収穫であった。しかし、新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、今年度も予定していた海外調査は行えなかった。これについては、昨年度に引き続き、文献調査による情報収集を実施する。また、Webページの作成についても予定通り進められなかったので、これは必要な機材を揃えるなどして今後進めていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
「学習としての評価(Assessment as Learning)としてのOPPA論について、および、OPPA論に基づく教師の教育観の変容に関し、フィードバックの効果や問いの機能を中心に探究する。これらは、これまでの成果とともに、オンライン等を活用した発信に努める予定である。具体的には、「OPPA研修会」の開催に加え、個々の実践についての成果を発信するための「発表会」などを企画、実施したい。その際、OPPA論に関するウェブベージの作成などインターネットを活用した研究成果の発信についての充実を図る予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染拡大に伴い、当初計画していた海外出張・国内出張が難しくなり、予算の執行ができなかった。 今後の感染状況によるが、インターネットを活用した研究成果の発信のための機材購入、及び、Webページの充実に予算をあてる予定である。
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