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2023 年度 実施状況報告書

カンボジアの遺伝医療の普及へ向けた医療者と中・高校生へのヒト遺伝教育モデルの開発

研究課題

研究課題/領域番号 20K03270
研究機関お茶の水女子大学

研究代表者

佐々木 元子  お茶の水女子大学, 基幹研究院, 講師 (90725665)

研究分担者 三宅 秀彦  お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (40297932)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
キーワードカンボジア / ヒト遺伝教育 / 中等教育
研究実績の概要

2024年3月にカンボジアを訪問し、以下のインタビューを実施した。
①学校教員に対するインタビュー調査:2022年度に実施した予備調査をもとに、3校計30名の教員に対しグループインタビューを実施した。生物教員は遺伝教育を必要と感じているが、それ以外の科目の教員は必要性を感じていなかった。また、遺伝については、高校2年生で扱うため、文系の生徒は学んでいないことが多かった。さらに複数の教員から、見えるもの、体験できるもの(実験や実習)のないことが、遺伝に関する教育の難しさとして挙げられていた。
②遺伝医療及び医療者教育に関するインタビュー調査:サンライズ病院の病院長にはカンボジアにおける遺伝医療の現状について、看護大学の学部長には看護教育における遺伝教育の必要性についてのインタビューを行った。NIPT(無侵襲的出生前遺伝学的検査)は、少数の病院ではあるがカンボジアでも実施されており、医師が検査の説明を行っている。また、遺伝性疾患について、医師が患者家族に説明することはあるが、理解度は不明であり、遺伝医療として扱うのは時期尚早の印象である。また、看護教育においては、その必要性を明らかにする必要があるとの意見であった。
③障がいのある当事者とその支援者に対するインタビュー調査:Rabbit School(支援学校)および、PPCL(障がい者自立センター)、SAORI(障碍者施設)を見学し、先生および利用者から、カンボジアにおける障がい者の立場等について、話を聞いた。知的障害と身体障害での状況は異なっている。様々な活動を通し、障害者差別はいけないとの認識は広まってきているが、障害者をサポートする意識の醸成には至っていない。また、数か月前に障害者カードができたばかりである。

以上の結果より、次年度(最終年度)は、高校生対象の遺伝に関する実験を取り入れた特別講義の実施を計画している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究が採択された2020年4月~2023年3月の3年間は、COVID-19の影響により日本‐カンボジアの渡航が叶わず、研究の遂行が困難であった。カンボジア在住の研究協力者も、プノンペンのロックダウンなどの影響によりカンボジア国内での活動も制限される状況が続いていた。また、オンラインの環境も不安定なため、2022年度にプレインタビューは実施したものの、本調査はできなかった。2023年度末にカンボジアへ渡航し、インタビュー調査が実施できた。

今後の研究の推進方策

カンボジアの中高の教員、教員養成大学の教員、および看護学部の教員のインタビューから、遺伝については高校2年生で学ぶが、①高校卒業試験のための学習となっており、試験終了後は忘れてしまう、②実験が無いため記憶に残らない、との意見が複数見られた。そのため、高校生を対象とした、簡単な実験を含めた特別講義の実施とその前後でのアンケート調査を計画している。

次年度使用額が生じた理由

当初予定していた、カンボジアへの渡航が叶わず、予定通りにいかなかった。
2024年度には研究協力者と共にカンボジアへ渡航し、高校生対象の実験を含んだ遺伝の特別授業を行い、アンケート調査を実施する予定である。

備考

NPO法人リビング・オール・トゥギャザーのHP
https://www.lat-web.com/news/
に研究に関わる内容が一部公開されている。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Clients' and genetic counselors' perceptions of empathy in Japan: A pilot study of simulated consultations of genetic counseling2023

    • 著者名/発表者名
      TOMOZAWA Chikako, KANEKO Mikiko, SASAKI Motoko, MIYAKE Hidehiko
    • 雑誌名

      PLoS One

      巻: 18 ページ: e0288881

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0288881.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 新到達目標に基づく今後の認定遺伝カウンセラー養成制度のあり方 認定遺伝カウンセラー到達目標の改訂について2023

    • 著者名/発表者名
      山本 佳世乃・赤間 孝典 ・佐々木 元子・佐藤 智佳・田辺 記子・三宅 秀彦
    • 雑誌名

      日本遺伝カウンセリング学会誌

      巻: 43 ページ: 313-322

    • 査読あり
  • [学会発表] 認定遺伝カウンセラーに求められる生涯教育2023

    • 著者名/発表者名
      佐々木 元子
    • 学会等名
      第47回日本遺伝カウンセリング学会学術集会
    • 招待講演
  • [学会発表] 認定遺伝カウンセラーのスーパービジョン2023

    • 著者名/発表者名
      佐々木元子
    • 学会等名
      Human Genetics Asia 2023
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 遺伝カウンセラー養成課程におけるスーパービジョンに対する学生の経験に関する質的研究2023

    • 著者名/発表者名
      三木 詩織, 清水 瑠璃子, 村上 遥香, 神原 容子, 三宅 秀彦, 佐々木 元子
    • 学会等名
      第47回日本遺伝カウンセリング学会学術集会
  • [学会発表] 本邦における「ヒトの遺伝」教育・啓発コンテンツ確認シートの作成2023

    • 著者名/発表者名
      佐々木 規子, 秋山 奈々, 鳥嶋 雅子, 宮崎 幸子, 森屋 宏美, 鈴木 美慧, 十川 麗美, 内山 正登, 佐々木 元子, 森藤 香奈子, 櫻井 晃洋, 渡邉 淳
    • 学会等名
      第47回日本遺伝カウンセリング学会学術集会
  • [学会発表] A Family with BAP1 tumor predisposition syndrome identified by cancer genomr profiling test and confirmatory test2023

    • 著者名/発表者名
      YAMAMOTO Haruka, SASAKI Motoko, NAKAYAMA Tomohiro, TSHCHIDA Sachio, MIURA Katsuhiro, UMEMURA Hiroshi, TANABE Masahiko, ODA Katsutoshi
    • 学会等名
      Human Genetics Asia 2023
    • 国際学会
  • [学会発表] Angelman症候群のあるお子さんをもつご家族における障害受容過程とストレス対処能力との相互作用に関する調査2023

    • 著者名/発表者名
      山本 永花, 神原 容子, 佐々木 元子, 三宅 秀彦
    • 学会等名
      第47回日本遺伝カウンセリング学会学術集会
  • [学会発表] 遺伝性腫瘍の遺伝カウンセリングにおけるクライエントの被共感体験 「共感がない」カテゴリーに着目して2023

    • 著者名/発表者名
      友澤 周子, 金子 実基子, 佐々木 元子, 三宅 秀彦
    • 学会等名
      第47回日本遺伝カウンセリング学会学術集会
  • [学会発表] 遺伝性腫瘍の遺伝カウンセリングにおいて クライエントが受け取った共感に関する体験2023

    • 著者名/発表者名
      友澤 周子, 金子 実基子, 佐々木 元子, 三宅 秀彦
    • 学会等名
      第29回日本遺伝性腫瘍学会学術集会
  • [学会発表] 遺伝性腫瘍の遺伝カウンセリングにおいてクライエントが遺伝カウンセリング担当者から受け取った共感に関する体験2023

    • 著者名/発表者名
      友澤 周子・金子 実基子・佐々木 元子・三宅 秀彦
    • 学会等名
      第3回JOHBOC学術総会
  • [図書] 遺伝カウンセリング標準テキスト2023

    • 著者名/発表者名
      認定遺伝カウンセラー制度委員会 (監修)
    • 総ページ数
      160
    • 出版者
      診断と治療社
    • ISBN
      4787825968

URL: 

公開日: 2024-12-25  

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