研究課題/領域番号 |
20K03276
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
松村 雅文 香川大学, 教育学部, 教授 (50239084)
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研究分担者 |
加藤 恒彦 立教大学, 人工知能科学研究科, 特任教授 (90413955)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 天文教育 / 理科教育 / 宇宙ビュアーMitaka / 銀河系学習 |
研究実績の概要 |
本研究は、国立天文台4D2Uプロジェクトで開発されてきた宇宙ビュアーMitakaに代表される新しいソフトウェア、及び学校現場で整備されつつあるICT機器(例えばタブレット)等のハードウェアを用いて、小学校・中学校で天文学習をより効果的に行えるよう学習内容の構成を含めた天文教育手法を開発すること、及びこれらの機器を有効に利用して、学習の深化をはかることを目的としている。2023年度は以下のことを行った: (1) Mitakaを用いた天文学習の深化: 天体を視覚的に捉え、宇宙の歴史が認識できる学習について考察した。Mitakaを用いると、天の川の中に星間雲が存在することがわかるが、星間雲が星や惑星形成と関連付けられると、地球の起源を含めた宇宙の歴史ができる。このため、星間雲スケールで磁場構造(Doi et al., 2024)や、形成後間もない恒星周囲(10~100天文単位のスケール)で観測されている円盤構造を積極的に教材として用いることが有用であることを示した(松村、2023)。 (2) Mitakaのアステリズム機能の応用:Mitakaの機能の一つである、3次元でのアステリズムを用いて、恒星の距離を求める手法の一つである年周視差と、最近発見されたラドクリフ波を視覚的に捉える方法を探求した。アステリズム機能(天体と天体を線で結ぶ)は、Mitaka version 1.7.0 から実装され、本来は星座などを示すためのものである。この機能は、天球面上のみではなく3次元的にも使えるため、天体の空間的分布を示すのに応用できる。この機能を用いて、年周視差の原理を説明してみた。更に、星間雲が銀河面に対して±100パーセク程度で波打っているラドクリフ波を説明することに応用した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Mitakaやその他のICT機器等を用いた新たな研究授業を行うことを模索したが、2020~2022年度のコロナ禍のため、想定した活動は実施できなかった。2023年度は遅れを回復するべく尽力したが、十分な成果には至っていない。このため”やや遅れている”と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
(1) MitakaやICT機器等を用いた天文学習:銀河系の学習以外にも、MitakaやICT機器等を効果的に用いた天文学習について研究する。特に、Mitakaのスクリプト機能の使用や、色々なICT機器等の併用による天文学習について、より深く可能性を追求する。 (2) Mitakaを用いた天文学習の深化:前年度に引き続き、Mitakaで確認できる暗黒星雲を、内容的に理科の他の単元と関連付けるのかを考察する。この内容に関連して、高質量星形成領域の一つである、いっかくじゅう座R2分子雲の研究を進める。 (3) Mitakaに関する書籍の刊行:コロナ禍で研究の研究の進展は制限されてきたが、Mitakaに関する知見は蓄積されてきたので、昨年度から書籍の刊行を構想してきた。実際に刊行するため、研究を進展させつつ、刊行のための原稿や図等を準備する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020~2022年度のコロナ禍が継続したため、想定していた小学校または中学校での研究授業ができず、当初の予定よりも使用額が少なくなった。次年度は、研究成果の出版と、その準備のために助成金を用いる。
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