研究課題/領域番号 |
20K03278
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研究機関 | 富山県立大学 |
研究代表者 |
戸田 晃一 富山県立大学, 工学部, 教授 (20338198)
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研究分担者 |
山本 裕樹 東北公益文科大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (20348816)
澤渡 信之 東京理科大学, 理工学部物理学科, 教授 (80339126)
中村 厚 北里大学, 理学部, 准教授 (90245415)
中西 裕之 鹿児島大学, 理工学域理学系, 准教授 (90419846)
上田 晴彦 秋田大学, 教育文化学部, 教授 (70272028)
櫛田 淳子 東海大学, 理学部, 教授 (80366020)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | インターネット望遠鏡システム / 課題バンク / 天体観測(とくに南天) / オンライン教育 / 生涯学習 / STEAM教育 |
研究実績の概要 |
インターネット望遠鏡システムとは,遠隔地に設置された望遠鏡をインターネット経由でコントロールし,さまざまな天体を観測するための装置と操作システムのことである。2003年度より北半球の複数箇所(日本,米国,イタリア)に設置し,自宅や教育現場にて無料で利用されている実績が数多くある。南半球に設置すれば,北半球への設置分と相互活用でき,24時間常時天体観測が地球規模で可能となる。本研究課題において,(南半球では最初となる)ブラジル国内の複数箇所にインターネット望遠鏡システムを設置するための基礎調査を,2021年度も新型コロナウイルス感染症の甚大な影響の中ではあるが,可能な限りオンライン形式により行った。
インターネット望遠鏡システムによる天体観察を教育現場により普及させるために,小学校から高等学校までの各学年で“使える”観測テーマの事例を無料で公開をする仕組みである「課題バンク」を開発している。2020年度に引き続き,作成するためのカテゴリ(テーマ)を決め,各テーマ毎にいくつかの「課題」を作成することができた。また,試験的に運用を開始した「課題バンク」のホームページの試用を行い,見つかった問題点をすぐに改善し,その完成度を高めている。
インターネット望遠鏡システムの設置費用を抑えるために,インターネット望遠鏡システムの小型化の取り組みを2020年度に開始した。さまざまな可能性を検討し,小型望遠鏡とスマートフォンもしくはタブレットを利用した「スマート望遠鏡(仮称)」をその候補とし,インターネット望遠鏡のシステムを利用できるかの検討までを2021年度中に行った。毎年度開催している「インターネット望遠鏡プロジェクトに関するシンポジウム」を2021年度も(,オンライン形式ではあったが,)開催し,本研究課題の研究成果の公表や関連する研究活動および教育活動の実践報告をした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年3月のブラジル滞在以降,新型コロナウイルス感染症の甚大な影響のため,インターネット望遠鏡システムの南米設置先の第1候補であるブラジル国内にあるサンパウロ大学サンカルロス校およびサンタカタリーナ連邦大学に滞在し,本研究課題のメンバーが設置のための現地状況の視察や設置のための事前準備を行うことがほとんどできなかった。これが,本研究課題の進捗状況が遅れていると判断した一番の理由である。
また,各地のサイエンスカフェ,青少年のための科学の祭典などに可能な限り参加をして,本研究による成果のアウトリーチ活動を行う予定であったが,新型コロナウイルス感染症の影響によりこれらの活動もほとんどできなかった。このため,現在作成中の「課題バンク」の試用を行い,その改良点や補足をすべき点および加えるべき課題の調査を行うことがほとんどできなかった。
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今後の研究の推進方策 |
南米設置先の第1候補であるブラジル国内の2箇所への設置計画はこれまで通りとする。しかし,新型コロナウイルス感染症の影響がどの程度続くのか見通せないために,オンライン形式により必要な準備を可能な限り進める。2022年度中に状況が許せば,ブラジルに再訪し,2020年3月に新型コロナウイルス感染症のために中断した設置準備を早急に再開する。また,ブラジル以外の南半球の国,具体的にはオーストラリアやニュージーランドに設置できないかを検討する。
インターネット望遠鏡システムの小型化は,今後のインターネット望遠鏡システムネットワークの普及に不可欠な課題である。2022年度中に「スマート望遠鏡(仮称)」の試作機を完成させて,試用できるように現在計画を進めている。また,各テーマ毎に複数の「課題」を作成し,「課題バンク」の充実をはかる。そして,専用ホームページにてそれらの「課題」を公開し,教育現場などでの利用が可能となるように整備していく。
本研究課題に関係するいくつかのホームページの内容を充実させる。本プロジェクトの活動によるこれまでの成果を,アウトリーチ活動により一般に還元する。加えて,実際の高等学校から小学校までの教育現場での活用促進のための広報活動を積極的に行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
上記の通り,研究計画が当初予定より約10ヶ月遅延しているために,令和四年度(2022年度)への繰越金が発生した。
令和四年(2022年)夏以降に,複数台の「スマート望遠鏡(仮称)」の試作品を作成し複数箇所に設置する費用,オンライン会議を定期的に行えるシステム構築に関する費用などに使用する予定である。
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