研究課題/領域番号 |
20K03286
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研究機関 | 奈良工業高等専門学校 |
研究代表者 |
竹原 信也 奈良工業高等専門学校, 一般教科, 准教授 (10511545)
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研究分担者 |
藤木 篤 神戸市看護大学, 看護学部, 准教授 (80609248)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 技術者倫理教育 / 学習過程 / ビデオリフレクション / 会話分析 / 授業改善 |
研究実績の概要 |
今年度は、新型コロナウイルスの感染拡大による影響を受け、休校・遠隔授業などの措置がとられ、平常授業の実施が難しく、教育実践研究の活動も大きく制限された。他方で、そのような状況ではあったが、文献収集と調査を行った。また感染予防対策を徹底して、試行的な教育実践を行った。 具体的には、1年生(地理),3年生(政治経済),5年生(人間環境学)を対象に技術者倫理や環境倫理を題材にした授業を実施し,その様子を撮影・記録した.このうち5年生(人間環境学)の授業についてグループ討論の発話記録(トランスクリプト)や映像記録をもとにトランスクリプトや映像記録から「討論の過程=技術者倫理の学習過程」と「グループワークそのもののはたらき」,「教員の関わり方や働きかけ」に焦点をあてつつ、教員の行動も含めた学習過程について分析をおこなった。そして、社会学、教育学、技術者倫理教育の専門家を交えた研究報告会を開催し、成果と課題を整理した。 分析からは、(1)技術者倫理教育においてグループワークのプロセスに焦点を当て,学生らの議論の対立や変容や統合も含めて授業を展開していくことの重要性、(2)学生達が、グループワークの進め方自体についても議論を行ったり、適度な相槌・同意が次々と意見を引き出す「契機」あるいは「繋ぎ」としても機能していたりするなど、グループワーク固有の働きに着目し、それを授業改善に繋げるためのアイデアや議論が必要であること、(3)教員は授業中,時にクラス全体に対して語り掛け,時に教室内を黙って巡視し,時に特定のグループと対話する.しかし,そうした行動の全てが成功するわけではなく,ビデオリフレクションを通じた授業改善の必要性や有効性が示唆されるとした。以上の分析を日本工学教育協会(JSEE)の学会誌「工学教育」に投稿し、採択された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は、新型コロナウイルスの感染拡大による影響を受け、休校・遠隔授業などの措置がとられ、平常授業の実施が難しく、教育実践研究の活動も大きく制限された。そのため、研究の実施時期が当初予定より遅れた。他方で、そのような状況ではあったが、文献収集と調査を行った。また感染予防対策を徹底して、試行的な教育実践と分析を行い、研究報告会を開催し、教育実践と報告会をもとに論文を執筆し投稿・採択された。
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今後の研究の推進方策 |
前年度試行した教育実践研究や報告会で議論された内容を踏まえながら、引き続き日本工学教育協会・技術者倫理調査研究委員会が公開する「技術者倫理教育における学習・教育目標」や「モジュール型モデル・シラバス」についての教育実践研究報告を積み重ね、評価や提言を行っていく。また授業の観察と評価に止まらず、教育実践とその有効性評価を繰り返しながら授業改善そして効果的な教育教材および授業方法の開発にも取り組む予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、新型コロナウイルスの感染拡大による影響により、休校・遠隔授業などの措置がとられ、平常授業の実施が難しく、教育実践研究の活動も大きく制限されたため、研究の実施時期が当初予定より遅れた。そのため、予定していた報告会や学会発表ができず、旅費や謝金に影響が生じた。
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