本研究課題は、新学習指導要領下における博物館と学校との連携(博学連携)による教育活動を定量的に評価しようとするものである。しかしながら、本研究課題を開始した2020年以降、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響を受け、博学連携を取り巻く状況は当初の想定から大きく変化した。2020年度はほとんどの連携や実践が中止を余儀なくされた。2021年度は多くの制限を受けながら再開したものの、従前の状態にはほど遠い状態であった。2022年度になって、感染症対策などの制限を残しながらも正常化の動きが始まり、2023年5月に新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが5類感染症となったことを受けて、ようやく従前の研究環境がほぼ回復するに至った。 このような状況の下、2023年度は本課題の主要な研究対象である、愛知県犬山市における小中学校と日本モンキーセンターとの長期的な連携を対象に、研究課題に取り組んだ。現行学習指導要領では、以前に比して中学校理科のカリキュラムに大きな変更が加えられているが、犬山市における連携ではこの変更に即応することができていない。実施規模の大きい博学連携には定型化したプログラムが必要となるが、カリキュラム変化に対応する柔軟性が失われる点が課題として浮かび上がった。 研究成果の一部について、第39回日本霊長類学会、第64回日本動物園水族館教育研究会で発表したほか、第68回プリマーテス研究会で総括的な発表をおこなった。また、小学校4年生理科における連携に関する研究成果をまとめた論文を学術誌に投稿中である。また、小学校2年生の国語科および中学校理科における連携の成果について、論文を準備中である。
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