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2020 年度 実施状況報告書

持続的な対人葛藤をもたらすプロセスの解明:被害的認知に着目して

研究課題

研究課題/領域番号 20K03289
研究機関東京学芸大学

研究代表者

品田 瑞穂  東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (70578757)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード共感 / 攻撃性 / 被害的認知 / 社会的認知 / 関係性攻撃 / 視点取得 / 共感的関心 / 社会的情報処理理論
研究実績の概要

R2年度は,文献研究によって先行研究を概括し,3つの質問紙調査を実施した。本年度の調査の主な目的は,本研究の中核的な概念である被害的認知を測定する尺度の作成と信頼性・妥当性の検討である。
具体的には,まず大学生を対象とした予備調査(n=124)を実施し,尺度を構成する項目の因子構造を確認し,その結果に基づいて成人を対象とした調査I(n=510)を実施した。その結果,作成した被害的認知尺度の信頼性(内的整合性)が確認されるとともに,既存の攻撃性尺度(Buss-Perryによる攻撃性尺度の4因子のうち,身体的攻撃・敵意・短気の因子)との間に有意な関連が示されたことから,尺度の妥当性が確認された。
調査IIでは,本研究の仮説である共感と被害的認知,攻撃性との関連について基礎的なデータを得るため,成人を対象とした調査II(n=393)を実施した。調査IIでは,被害的認知と攻撃性との関連について,より包括的に検討するため,攻撃性の尺度として関係性攻撃尺度を用いた。その結果,共感と被害的認知の間に関連はみられなかったが,被害的認知と関係性攻撃の間には,予測と一貫して有意な関連が示された。すなわち,被害的認知を強く持つほど,関係性攻撃を行う傾向がみられた。また被害的認知と利己的な認知の歪み(攻撃を利己的な理由により正当化する傾向),責任の外在化(攻撃の原因を他者に帰属する傾向)との間にも関連がみられたことから,被害的認知が攻撃性を導く対人情報処理過程の一部として働く可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度の調査により,尺度の信頼性・妥当性が確認された。また,被害的認知と攻撃性との間に,2つの調査を通して仮説モデルと一貫する結果が得られた。ただし,パーソナリティ特性としての一般的な共感性と被害的認知,および共感性と攻撃性との間には予測する関連が得られなかったことから,次年度は共感性の概念と尺度について再検討を行う。

今後の研究の推進方策

R3年度は,被害的認知と共感性,攻撃性の影響過程について検討するため,実験研究を行う。ただし,実験室実験の実施が困難な場合には,R4年度に計画していた短期的縦断研究による影響過程の検討を先に実施して対応する。また,場面・対象特定的な共感性について文献調査を行い,測定方法の検討を行う。

次年度使用額が生じた理由

R2年度に参加する予定であった国際学会がR3年度に延期となったため,一部に未使用額が生じた。また,この学会はオンライン開催に変更されたため,旅費を調査対象者への謝金または調査委託費に充当したが,若干の残額が生じた。残額に関しては,R3年度の調査に要する費用に充当する。

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公開日: 2021-12-27  

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