研究課題/領域番号 |
20K03290
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
安藤 孝敏 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 教授 (00202789)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 終活 / サクセスフル・エイジング / 時間的展望 / 生活満足度 / 高齢者 |
研究実績の概要 |
高齢者の終活への取り組みが自らの人生に対するポジティブな視点へとつながっていくのか、転機を含めたプロセスについて解明し、高齢者の終活がサクセスフル・エイジングへと至るモデルを提案することが本研究の目的である。 まず、高齢者を対象とする大規模質問紙調査の準備として、2019年末に神奈川県A町において実施できた予備調査のデータを分析・検討した。自由記述の回答から、「終活の理念やあり方などのイメージ作り」「知識を得るための相談の場」「物の整理から入る終活」などの内容が整理できた。 直近5年間(2015年から2019年)の新聞報道における終活の内容分析では、日常生活から終活を見る読者投稿では、物の整理・日記・手紙といった日常生活に直結する視点で終活が語られる傾向にあり、一般記事及び広告・告知の傾向とは異なり、終活の意識に乖離がみられた。神奈川県大磯町に居住する55歳以上を対象に実施した予備的な終活アンケート調査の自由記述の内容分析から、「終活の具体的内容」「終活への姿勢」「終活の動機」「現在抱いている不安」「要望・困っていること」という5つのカテゴリが得られた。「終活への姿勢」では、「ポジティブ」「ネガティブ」「ニュートラル」の3つのサブカテゴリが得られ、「ポジティブ」では「整理」を中心とした具体的な内容が共に語られることが多く、「ニュートラル」では「迷惑をかけない」という動機に対し「財産管理」が比較的強く共起し、「ネガティブ」においては「家族に伝達・相談」での共起が比較的強く、「独居生活」と「健康」についての不安が語られがちであった。 予備調査の分析および新聞における終活報道の動向などを踏まえて、当初の予定から遅れている地域在住高齢者を対象とする大規模調査の項目を精査・準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では、2020年度秋頃に地域在住高齢者を対象とする大規模質問紙調査を実施することにしていた。予備調査の整理・分析は順調に行われたが、新型コロナウイルス感染拡大を受けて、2020年4月からの1回目の緊急事態宣言発出、その後の第2波~第6波と再度の緊急事態宣言発出やまん延防止等重点措置により、一般の地域在住高齢者を対象とする郵送法による大規模質問紙調査の実施は見通しが立たなかった。 このような状況から、予備調査と終活報道の内容分析の結果を踏まえた調査項目の精査・準備は進めながらも、実査は2022年度以降へと計画を再度、変更した。調査の準備はほぼ整えられているが、今後の感染症の状況を見ながら、ネット調査などの調査方法の変更も含めて検討している。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度へと変更した地域在住高齢者を対象とする大規模調査はネット調査に変更して実施する方向で進めている。特に、終活関連の諸項目と主観的幸福感や時間的展望等の関連から、終活が高齢者に及ぼす影響を詳細に分析・検討し、高齢者の終活がサクセスフル・エイジングへと至るモデルを構築する。 終活に関する新聞報道の内容分析は、2020年度と2021年度の該当する新聞記事を対象に、計量テキスト分析ソフトウェアを使用して行う。 これまでの予備的な調査のデータを吟味・分析し、高齢者の終活と未来展望との関連に関する成果を国内学会において発表する予定である。大規模調査の成果は、国際老年学会などの国際会議において発表する予定であったが、アジア/オセアニア国際老年学会議(横浜)もしくは国内学会における発表などの変更を検討中である。 終活に取り組んでいる10人程度の独居高齢者に対する聞き取り調査の準備を2022年度後半から行う。感染症対策から、対面ではなく、ビデオ会議もしくは電話による聞き取り調査の可能性も検討する。 感染症の状況を見ながら、1年程度の研究期間の延長を検討中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画では、2020年度に地域在住高齢者を対象とする大規模質問紙調査を実施することにしていた。しかし、新型コロナウイルス感染拡大を受けて、実査は2022年度へと再度、計画を変更した。そのために、実査にかかる調査経費がそのまま次年度へ繰り越されることとなった。
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