本研究は、他者に見える2つの環境配慮行動(緑のカーテン実施、マイボトル利用)を対象に、「他者に関わる要因も含むことで信頼性を高めた、包括的な意思決定プロセス」を質問紙調査の分析により、まず明らかにする。その上で、それぞれで有意になった意思決定要因に対応する情報を複数設定し、どの情報の提供が2つの環境配慮行動をより促進させるかを、RCT(ランダム化比較試験)社会実験により検証した。 他者に見える2つの環境配慮行動のうち、家屋外での緑のカーテン実施については、1つのプレ調査、2つのRCT社会実験(2回ずつの事前調査と事後調査)を、Webを通じて実施した。事前調査では各種属性、節電に係る意識や行動、地域での活動等の測定、および対象者をランダムのグループに振り分け、複数の情報のいずれかを各グループに提示した。事後調査では今夏の緑のカーテンの実施有無、その判断時の意識、今夏の節電行動等を測定した。2023年度はこれらの調査の分析、考察を進め、論文執筆を行った。 もう1つの環境配慮行動のマイボトル利用については、文献調査等による理論モデルの設計・精緻化を行った。それに基づき、1つのRCT社会実験と1つのフォローアップ調査を実施した。2023年度はこれらの調査の分析、考察を進めた。加えて、他者に見える2つの環境配慮行動間での意思決定要因や促進情報の効果の違い、他者に関わる要因が意思決定等に与える影響の違いなどの分析、考察を進めた。
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