• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実施状況報告書

分断社会を乗り越える共感メカニズムの解明:ワーキングメモリキャパシティの観点から

研究課題

研究課題/領域番号 20K03312
研究機関東北福祉大学

研究代表者

吉田 綾乃  東北福祉大学, 総合福祉学部, 教授 (10367576)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード共感 / ワーキングメモリ / 分断社会 / 実行注意 / マインドセット
研究実績の概要

共感の二重システムモデルでは、他者の感情を捉える自動的プロセスであるEmpathy 1と、それらの感情を解釈する制御されたプロセスであるEmpathy 2が区別される。他者に対する共感は敏感であると同時に、さまざまな要因によって崩壊してしまうことが確認されている。経験の共有や視点取得、共感的な関心を寄せることには、Empathy 2が関与し、ワーキングメモリキャパシティ(WMC)の個人差による影響を受けていると考えられる。これらを踏まえて、2022年度は、集団間共感バイアス(intergroup empathy bias)と共感マインドセットに着目した研究を行った。集団間共感バイアスとは、外集団よりも内集団メンバーに対して人々が共感を示す現象を指し、共感マインドセットは、共感が限られた資源である(あるいは無限の資源である)と捉える信念を指す。共感マインドセットとWMCの個人差が集団間共感バイアスに及ぼす影響について検討した。大学生の調査対象者に、WMCと共感マインドセット測定後に、内集団(大学生)と外集団メンバー(外国人労働者)がCovid-19により経済的に困窮した状況に置かれているというニュース記事を読むことを求めた。外集団 / 内集団メンバーに対する、共感、同情、支援政策への支持等を測定した。分析の結果、集団間共感バイアスの生起が確認され、この傾向はWMC高群において顕著に認められた。共感マインドセットがバイアスに及ぼす影響は確認されなかった。これらの結果は、集団間共感バイアスが、当該状況において活性化された目標追及の結果として生じている可能性を示唆していると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初の研究計画から、およそ1年程度、計画の遂行が遅れている。主な理由としてCovid-19の影響により、対面での実験や集団実験等の実施が困難になったことが挙げられる。

今後の研究の推進方策

当初の研究計画をより洗練させ、新たな仮説の検証を実証的に行う予定である。特に、検討が遅れている行動指標の測定も含めた対面による実験を感染リスクへの対応を十分に行った上で実施する予定である。

次年度使用額が生じた理由

Covid-19の影響により、国際学会の発表様式が変更となった。また、対面による研究実施が困難になったことにより研究計画の遂行が遅れたことが原因である。最終年度は、感染症リスク対策を十分にとりながら、遅れていた研究の遂行ならびに、得られた成果について国内外の学会における発表準備を進める予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 共感マインドセットとワーキングメモリキャパシティが集団間共感バイアスの生起に及ぼす影響2023

    • 著者名/発表者名
      吉田綾乃
    • 学会等名
      日本社会心理学会第64回大会
  • [学会発表] 大学生は保守化したのか?投票行動とモラルファンデーションに注目した検討2023

    • 著者名/発表者名
      吉田綾乃
    • 学会等名
      日本パーソナリティ心理学会第32回大会

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi