研究課題/領域番号 |
20K03335
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
安達 智子 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (40318746)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | キャリア / ジェンダー / 自己効力 |
研究実績の概要 |
研究開始年度である2020年度は,関連論文,図書,各種の政府統計や報告書等から情報収集を行い,異性職の範囲と定義づけについて検討を進めた。また,取得済のデータを分析してキャリア決定における自己効力の作用について分析を行った。なお,コロナ感染症拡大の状況を鑑みて,インタビュー調査は次年度以降への繰り越しを行うこととした。主たる成果は以下のとおりである。 1)10年前に抽出した男性職,女性職,中性職における男女の占有率に,大きな変化はみられないものの,一部の領域では男女の相互乗り入れがすすんでいる。くわえて,産業構造ならびに若者が志望する職業や働き方はコロナ禍によって大きく変化しておりこの後も変容し続けるであろう。これらを踏まえ たうえで,分析材料として用いる職業を抽出していく必要がある。 2)3つの立場の若者から得られたデータを分析したところ、いずれの群においてもキャリア自己効力は決定に対して直接的なプラスの関りをもつことが示された。不慣れな領域に対しても一定程度の自己効力をもつことが,チャレンジしてみようとの選択行動を動機づけるといえる。 3)異性職というワーク・キャリアのみでなく,生き方,働き方を踏まえたライフ・キャリアの視点が,若者のキャリア選択やその後の適応に看過できない影響を及ぼす。ステレオタイプや自己効力等の認知の作用をとりいれた研究において,ワークキャリアを扱った事例は多くみられるが,ライフキャリアについてもこれらの認知の作用がどのように及ぶかを検討していく必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ感染症の拡大によって,インタビュー調査や予備調査が翌年度以降に持ち越しとなった。一方で,国内外の情報収集は幅広く行うことができ,調査の実施に向けての基礎固めが整ったと判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ感染の症状況を見ながら柔軟に研究を進めていく必要がある。当初,現地に赴いて対面形式で行う予定であったインタビュー等の情報収集を非接触型に置き換えるなどの対応をしながら研究を行う。2021年度は,前年度に収集した情報へさらに最新の知見を加えて異性職の選択,認知の測定法,そして調査の計画立案へと進めていく予定である。それらと並行させて取得済のデータ分析を進める。とくに,ライフワークの観点からも検討を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ感染症の拡大により当初予定していた横断調査とインタビュー調査を翌年度以降に繰り越しすることとなった。それにともなう出張旅費,インタビュー謝金,テープ起こしと資料整理へは今年度は計上されていない。来年度以降,感染症の状況を踏まえながら,場合によっては調査計画に修正を加えて可能な限り非接触型の手法を用いて研究を進める予定である。
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