研究課題/領域番号 |
20K03335
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
安達 智子 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (40318746)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | キャリア / ステレオタイプ / ジェンダー / 自己効力 |
研究実績の概要 |
2年目となる2021年度は、前年度から継続して文献研究を実施するとともに、男性職、女性職、バランス職を抽出して男女占有率とジェンダーステレオタイプの関連を確認するための調査を実施した。得られた結果のうち主たる内容は以下のとおりである。 1)男性職、女性職、バランス職への分類に統一した基準はないが、トークニズムや黄金の3割の考え方にもとづき30%を基準とした場合、男性職が6割程度を占めており、かつ女性職よりも多様な領域をカバーしている。 2)職業に対するジェンダーステレオタイプを測定する際に、男らしさと女らしさを両極に配置した一次元の尺度では、男らしく女らしくもある、あるいは、男らしくなく女らしくもないという認知をとらえられないという問題点があった。そこで今回は、男らしさと女らしさの2軸で職業に対するジェンダーステレオタイプを測定した。結果として、一次元をもちいたときと同様に男性職は男らしい、女性職は女らしい、そして、バランス職はどちらでもない認知がなされていることが分かった。 3)男性職、女性職、バランス職における、男らしさと女らしさの関係性を分析したところ、男性職と女性職は男らしさと女らしさが負の関係にあるが、バランス職は男らしさと女らしさの間に低めの正の関係性がみとめられた。 4)上記3)の認知に目立った性差はみられず、男女ともに、男性が多くを占める職業は男性性が高く女性性は低いものとして、女性が多く占める職業は女性性が高く男性性は低いものとして認知していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
去年度に行った文献研究と定義づけにもとづき男性職、女性職、バランス職を抽出してWeb調査を実施した。おおむね当初の予定通りに研究がすすんでいると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
web調査を実施した結果、10年前に行った調査と同様に男性が多いと男らしく、女性が多いと女らしいと、職業の男女占有率にもとづき、ジェンダータイピングがなされていることが分かった。今後は、男性性と女性性を別の次元でとらえた場合に、自己効力とどのような関わりをもつかを明らかにしていく。また、これらワークキャリアにくわえて、ライフキャリアの視点からも検討をすすめていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ感染症拡大状況を踏まえて、直接現地に赴くインタビュー調査は実施せずに文献調査およびweb調査のみの実施とした。そのため旅費と謝金は計上されていない。また、研究者が所有するPCを用いて分析に着手したために新規PCを導入していない。次年度に、感染状況を踏まえながら調査計画をたて、調査実施およびデータ分析にかかわる諸経費を支出する。また、分析やオンラインでの研究活動に適したPC購入費を計上する予定である。
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