*最終年度である2023年度は以下に示す成果を得た 1)ライフキャリアのなかでも生活時間の設計に着目し、若者層男女と子どもをもち働く男女を対象とした分析を実施した。結果として、多くの活動領域の時間配分に理想と現実の不一致がみとめられ、男性は仕事、女性は仕事と家事・育児という新しい性役割分業観が反映されていた。また働く男女では、セルフモニタリングと空気を読むことの類似点が見出され、他者の態度や行動に対する感受性は適応的な側面のみでなく葛藤とも関わりをもつとの結果を得た。 2)職業の男女占有率、ステレオタイプ(ジェンダー・イメージ)、自己効力、生活時間設計等の内容を抽出したキャリア教育コンテンツを作成し、試行を行った。得られた反応から、内容を固定させずに対象や働きかけのテーマに応じて取捨選択しアレンジをくわえて活用できる形態が望ましいと考えられた。 *研究期間を通じた成果を以下にまとめる まず、男女の占有率にもとづいたステレオタイプ(ジェンダー・イメージ)について、男らしさと女らしさを別の次元でとらえる測定法によっても占有率が反映されたイメージが形成されることが示された。また、異性のイメージをもつ活動については自己効力や興味の形成が損なわれやすいことも確認できた。キャリア教育・支援の方向性として、イメージや自己効力を内容としたワークにくわえて、自身の心の働きを理解するメタ認知に焦点をあてた働きかけも有効と考えられる。一方、ライフキャリアにおいて、男女の相互乗り入れが遅れているものの、理想と現実の時間配分にギャップがみとめられ、理想は現実より平等志向であることが示された。よって、まずはギャップを認識すること、そしてギャップを縮める手立てを考え実行へとつなげていくための支援が有効と考えられる。
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