研究課題/領域番号 |
20K03340
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研究機関 | 聖徳大学 |
研究代表者 |
相良 順子 聖徳大学, 教育学部, 教授 (20323868)
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研究分担者 |
沢崎 真史 聖徳大学, 教育学部, 教授 (80320703)
宮本 友弘 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 教授 (90280552)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 中年期 / 現実自己 / 理想自己 / 差懸念 / 精神的健康 / 目標達成困難時の対処 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、人生で様々な変化や葛藤を経験すると考えられる中年期の男女を対象に、自分なりの目標を実現しようとする自己充実的達成動機と精神的健康や幸福感との関連を質的、量的に検討することである。 2023年度は、2022年度に実施した40代と50代の働き盛りの男女を対象としたインターネット調査のデータを分析し、成果を得ることができた。まず、日本心理学会第87回総会でポスター発表をした。40代と50代の働き盛りの男女について、自己の理想と現実の差を気にする程度(差懸念)について検討した。その結果、現実の自己の評価が低く差懸念が高い群、現実の自己の評価が高く差懸念が低い群、どちらとも平均的な群の3つのタイプが抽出され、現実自己の評価が低く、差懸念が高い群が最も抑うつが高いことが示された。 次に、2023年の3月では、日本発達心理学会第35回において、40代と50代の差懸念と目標の達成に関連する要因との関連を検討し発表した。目標の達成に関連する要因としては、困難な目標に対してどう対処するかということと、目標を自己の成長とする自己充実的達成動機との関連を検討した。困難な目標への対処尺度を因子分析した結果、「粘り強さ」「諦めの早さ」「肯定的解釈」の3因子が抽出され、困難な目標にぶつかった時に良い経験になったという「肯定的解釈」をする者ほど差懸念が低いことが示された。自己充実的達成動機は差懸念に正の影響を持つことが示された。これより差懸念の高い者の中には成長意欲が高い者が含まれていることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1年間の延長となったが、現在までに2回のインターネット調査を終え4回の学会発表及び、2つの論文を発表することができた。今年度は、データをさらに詳細に分析して、その成果を今年度の日本心理学会での発表、年度末の発達心理学会への発表につなげ、加えて海外の学会誌への投稿論文の作成を試みている。したがって、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、研究期間を延長して、研究成果を学会や国内外の学会誌で発表することを予定している。学会等で得たデータの解析方法を検討しつつ、分析に費やす時間を増やすことで、論文を通じて成果を社会に発信する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者の分担金を支出せずに済んだことに加え、国際学会の参加を見合わせたため次年度使用が生じた。今後は、残金を海外の学会誌に論文を投稿するための費用に使う予定である。
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