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2021 年度 実施状況報告書

インクルーシブ保育での障害児の子供との関わりのアセスメントと支援プログラムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 20K03341
研究機関実践女子大学

研究代表者

長崎 勤  実践女子大学, 生活科学部, 教授 (80172518)

研究分担者 吉井 勘人  山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (30736377)
板倉 達哉  文京学院大学, 保健医療技術学部, 非常勤講師 (90817157)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード自閉スペクトラム症 / インクルーシブ保育 / 子供同士の関わり / ブレークダウン / 保育士の支援 / 意図理解 / 社会性支援
研究実績の概要

1.「子供同士の相互交渉アセスメント」の自閉スペクトラム症H児への適用:2020年度の「子供同士の相互交渉アセスメント」方法の開発に基づき、2021年度は、幼稚園に在籍する自閉スペクトラム症H児に適用した。6月に幼稚園を訪問し、自由遊び時間を観察し、子供同士の関わりで生じたブレークダウンの前後のエピソードについて、「子供同士の相互交渉エピソード分析カテゴリー」を用いてアセスメントした(研究分担:長崎勤・吉井勘人・板倉達哉)。
2.「子供同士の関わりにおける保育者支援プログラム」の開始と支援の実施:アセスメント結果に基づき、10月と11月に保育者と意見交換を行い、H児と他児との関わりの支援方針を立てるコンサルテーションを行った。また保護者、専門機関とも支援目標の共有を図り、行動・発話の記録をつけていただいた。幼稚園での行動観察によるアセスメント、保育者との協議・コンサルテーションによって、保育者はH児と他児の行動・意図について説明、通訳を行う役割を担った。その結果、子供間のブレークダウンは減少し、共有の水準が高いレベルへと変化した。保育者は「行為の風景から意識の風景」にアプローチをしており、子供同士および保育者の関わりを基にしたコンサルテーションに一定の効果があった。また「発達支援メモ」を基に保護者や専門機関とも支援目標を共有した。専門機関では、個別の指導計画に反映され、家庭ではH児の自己・他者意図理解に注目した記録がなされた。それぞれの場で、目標に応じた支援を行ったことが他者の気持ちや因果関係といったH児のことばや関わりの発達につながったと考えられ、これらの知見に基づいて、6歳自閉スペクトラム症A児とピアとの社会性支援プログラムを開発した(研究分担:長崎・吉井・板倉)。
3.学会・研究会での研究発表:日本特殊教育学会、日本発達心理学会などで発表を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

新型コロナ感染症による緊急事態宣言などのために幼稚園での観察が制限され、典型発達児の子供同士の関わりについての研究が困難であった。また自閉スペクトラム症H児の幼稚園、専門機関の担当者および保護者の協力でアセスメントとコンサルテーションは可能であったが、観察の回数、コンサルテーションの回数が制限された。

今後の研究の推進方策

自閉スペクトラム症M児、H児の他児との関わりの特性と、保育者・教員の行動変容の詳細を分析し、自閉スペクトラム症の他児との関わりの特性をまとめる。また自閉スペクトラム症の特性に対応した子供同士の関わりの支援方法・コンサルテーションについて分析し、まとめるほか、過去の事例研究も併せて検討し「子供同士の相互交渉アセスメント」の妥当性について検証する。
様々な生活場面での自閉スペクトラム症とピアとの社会性支援プログラムの開発についても検討する。

次年度使用額が生じた理由

海外学会で発表予定であったが、コロナ感染拡大のためにリモート開催となったため、次年度に繰り越した。また同じくコロナ感染拡大により幼稚園での観察が制限され、共同研究者による観察が予定よりも少なくなり、予定していた謝金額が減少した。2022年度は子供同士の相互交渉の観察と、自閉症児に対する支援の助言への謝金を予定している。

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 「すごろくゲーム」共同行為ルーティンを用いたASD児へのナラティブ発達支援:双方向メディアツールを介して2022

    • 著者名/発表者名
      吉井 勘人、石田 悠莉
    • 雑誌名

      教育実践学研究 : 山梨大学教育学部附属教育実践総合センター研究紀要 = Journal of Applied Educational Research

      巻: 27 ページ: 47~57

    • DOI

      10.34429/00005093

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 特別支援学校におけるASD児の共同注意を促進する試み : SCERTSモデルを活用して2022

    • 著者名/発表者名
      青木 雄一、波多野 浩史、吉井 勘人
    • 雑誌名

      山梨障害児教育学研究紀要

      巻: 16 ページ: 73~88

    • DOI

      10.34429/00005065

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 幼児同士での協同活動における会話の発達 ー「気になる」幼児の会話特性の比較ー.2022

    • 著者名/発表者名
      板倉達哉
    • 雑誌名

      東京成徳大学子ども学部紀要

      巻: 12 ページ: 89 98

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 自閉症児への包括的発達支援プログラムの開発(1)-「イス取りゲーム」を通した情動表出・調整の支援-2022

    • 著者名/発表者名
      海老沢萌里・長田彩里・吉井勘人・板倉達哉・長崎 勤
    • 学会等名
      日本発達心理学会第33回大会研究発表・障碍1
  • [学会発表] 自閉症児への包括的発達支援プログラムの開発(2)-「電車ごっこゲーム」を通した協同活動の支援-2022

    • 著者名/発表者名
      長田彩里・海老沢萌里・吉井勘人・板倉達也・長崎 勤
    • 学会等名
      日本発達心理学会第33回大会研究発表・障碍1
  • [学会発表] 巡回相談における写真を用いた保育コンサルテーションの試み2022

    • 著者名/発表者名
      板倉達哉・長澤真史・吉井勘人
    • 学会等名
      日本発達心理学会第33回大会,研究発表-保育・教育3
  • [学会発表] 公認心理師における「教育・発達」的観点の意義と可能性―その3:自閉スペクトラム症理解と支援における「心の理論」の観点―.2022

    • 著者名/発表者名
      長崎 勤・子安増生・別府 哲・藤野 博・吉井勘人・清水康夫・井上雅彦
    • 学会等名
      日本発達心理学会第33回大会,学会企画ポストカンファレンス
  • [学会発表] 今、特別支援学校(知的障害)で何が起こっているのか?発達的観点の意義を再度、見直す.2022

    • 著者名/発表者名
      長崎 勤・吉井勘人・青木雄一・若井広太郎・田上幸太・田島信元・西山 剛司
    • 学会等名
      日本発達心理学会第33回大会,会員企画ラウンドテーブル
  • [学会発表] 特別支援学校の授業におけるASD児の仲間との対話の特徴―「朝の会」活動の相互行為の分析を通して―.2022

    • 著者名/発表者名
      吉井勘人・青木雄一・長澤真史
    • 学会等名
      日本発達心理学会第33回大会,研究発表‐障碍2
  • [学会発表] 自閉スペクトラム症児の子供との関わりのアセスメントと支援 (1) -子供同士のコミュニケーションでのブレークダウンと保育者の介入のアセスメントによる支援方法の検討―2021

    • 著者名/発表者名
      長崎 勤・若井広太郎・吉井勘人・板倉達哉・伊藤和佳
    • 学会等名
      日本特殊教育学会第59回大会(筑波大学・リモート開催)(研究発表)
  • [学会発表] 自閉スペクトラム症児の子供との関わりのアセスメントと支援 (2) -特別支援学校幼稚部におけるストラックアウトゲームスクリプトによる発達支援-2021

    • 著者名/発表者名
      若井広太郎・長崎 勤・吉井勘人・板倉達哉・伊藤和佳
    • 学会等名
      日本特殊教育学会第59回大会(筑波大学・リモート開催)(研究発表)
  • [学会発表] Development of construction of shared context in symbolic play of child and parent..Poster Session. #2575.2021

    • 著者名/発表者名
      Nagasaki,T.
    • 学会等名
      ICP2020,The 32nd International Congress of Psychology, July 20,2021,Prague,Chez.
    • 国際学会
  • [図書] これからの特別支援教育2022

    • 著者名/発表者名
      長崎 勤・吉井勘人・長澤真史(編著)
    • 総ページ数
      120
    • 出版者
      北樹出版
    • ISBN
      4779306728

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公開日: 2022-12-28  

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