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2020 年度 実施状況報告書

パーソナリティ特性の多面的な適応過程の研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K03345
研究機関早稲田大学

研究代表者

小塩 真司  早稲田大学, 文学学術院, 教授 (60343654)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードパーソナリティ / メタ分析 / 時代
研究実績の概要

2020年度は,YG性格検査の時間横断的メタ分析結果を応用し,社会的指標との関連を検討した。我々が生活している社会は変化し続けており,その変化に応じて人々のパーソナリティ特性も変化する可能性がある。ライフイベントはパーソナリティを変容させる可能性があるが,そのイベントをどの時期に経験したかによって,パーソナリティへの影響は変化する。そこで今回の研究では,合計特 殊出生率,死亡率,自殺率,婚姻率,離婚率,失業率,一人当たりGDP成長率の7つの社会的指標の年ごとの上下動が,YG性格検査の12特性にとのように関連するかを時系列分析で検討した。また時系列分析を行うことで,何時点(何年)前の社会的指標の変化がパーソナリティ特性に影響するかを検討することが可能となる。なお,社会的指標は互いに高い関連を示しており,主成分分析によって1つにまとめられた。そして時系列分析を行った結果,12特性のうち7つの特性で社会的指標の変動が生じた後でパーソナリティ特性の変化が生じる可能性が認められた。そして,劣等感(I),神経質(N),客観性の欠如(O),攻撃性(Ag),一般的活動性(G)については,1次のラグつまり1年前の社会的指標の変動が翌年のパーソナリティ特性の変化に影響を与えていた。またのんきさ(R)については3年前の社会的始業の変動が影響を与えており,思考的外向(T)については2年前の社会的変動が影響を与えていることが明らかにされた。結果から,実際に社会的指標の変動がパーソナリティの変動に影響することが示された。本研究は,社会の時代的変化が人々の心的状態に影響を与えるというひとつの証拠となり得ると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

時間横断的メタ分析を行うことで歴史的な時代変化について検討を重ねてきた。そして,社会的指標の年次変化が実際にパーソナリティ特性に影響を与えることが示された。パーソナリティ特性を軸に,時代変化や地域差を検討するデータセットを構築しており,今後も継続的に研究成果が出てくる状況にあると考えられる。

今後の研究の推進方策

今後さらに重層的なデータを集め,パーソナリティ特性についての多面的な特徴を検討していく。得られた研究成果は順次公表される予定である。

次年度使用額が生じた理由

コロナウィルス感染症の蔓延に伴い,海外での学会がキャンセルとなることが重なり,出張旅費を使用しなかったため残額が発生した。差額に関しては,次年度に有効に活用し,研究の遂行に役立てる予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2021 2020 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] パーソナリティ特性と社会指標の関連―時系列分析による検討―2021

    • 著者名/発表者名
      小塩真司・岡田 涼
    • 雑誌名

      心理学研究

      巻: 92 ページ: 127-129

    • DOI

      10.4992/jjpsy.92.20310

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [図書] 性格とは何か2020

    • 著者名/発表者名
      小塩 真司
    • 総ページ数
      256
    • 出版者
      中央公論新社
    • ISBN
      4121026039
  • [備考] 早稲田大学パーソナリティ心理学研究室

    • URL

      http://www.f.waseda.jp/oshio.at/index.html

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公開日: 2021-12-27  

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