研究課題
本研究課題では,パーソナリティの時代変化や環境,年齢による影響,特に調整効果について包括的に検討する中で,パーソナリティ特性と適応との関連について検討することを進めてきた。最終年度においてはまず,主観的年齢に着目した。主観的年齢は成人期を通じて健康関連のアウトカムを決定する重要な要因となることが明らかにされている。また,これまでのメタ分析においても,主観的年齢とビッグファイブ性格特性との間に有意な相関があることが示されている。しかし日本における両者の関連は明確ではない。そこで,5万人以上の大規模調査において得られたデータセットを用い,両者の関連を検討した。その結果,神経症傾向の高さは主観年齢の高さと関連しており,外向性,開放性,協調性,勤勉性の高さは主観年齢の低さと関連することが示された。さらにこれらの関係は,参加者の年齢と性別を考慮した後でも維持されていた。また,主観的年齢と外向性,協調性との関係は,年齢によって調整され,主観的年齢と一部のパーソナリティ特性の関連は,調査参加者の実年齢によって異なることが明らかにされた。またここまでに行った研究をまとめ,さらに考察を深めることを試みた,パーソナリティ特性は実際に社会における変化を反映しており,社会状況の変化に応じて人々が回答するパーソナリティ特性の得点も変化していく可能性がある。また,COVID-19のパンデミック下においては,それ以前とは異なるパーソナリティと適応との関連が見出される可能性がある。ただしここでは,全体的に変化が少ない方向性と,状況によって変化する部分とが混在している。すべてのパーソナリティ特性がこれらの調整効果を受けるわけではなく,部分的に影響を受けるという点は留意が必要である。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 図書 (1件) 備考 (1件)
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https://www.f.waseda.jp/oshio.at/