研究課題/領域番号 |
20K03347
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研究機関 | 安田女子大学 |
研究代表者 |
田渕 恵 安田女子大学, 心理学部, 講師 (70631977)
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研究分担者 |
小島 康生 中京大学, 心理学部, 教授 (40322169)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 制御焦点 / 幼児 / 保育者 / 世代間相互作用 / 利他性 |
研究実績の概要 |
保育所や幼稚園といった初期教育の場では,保育者は幼児が生きるために必要な行動方略を教え,それに対する幼児の行動に反応を返すという相互作用を繰り返す。本研究では,こうした保育者と幼児の相互作用の繰り返しが,全ての場合に等しく生じるのではなく,教えの内容によって異なるかを検討することを目的とした。 本年度の研究では,制御焦点理論 (Higgins, 1997, 1998)を用い,促進焦点の教えよりも予防焦点の教えを伝えた場合に,幼児が従わなければ,保育者の幼児に対する関わり意欲が高くなると仮定した。対象者は現役の保育士または幼稚園教諭であり,分析対象者は187名(女性名154名,男性33名,平均年齢43.08±10.84歳)であった。幼児に対する教えの種類(促進焦点 / 予防焦点)と,幼児の反応(保育者の教えに従う / 従わない)を操作したシナリオ実験を行った。その結果,仮説は一部のみしか支持されず,幼児に否定的な結果が起こり得るまでの時間スパンが短い場合(靴をちゃんと履かないと転ぶ)は仮説通りとなったが,スパンが長い場合(例:残さず食べないと体が弱くなる)は,促進焦点の教えに幼児が従う場合の方が関わり意欲が強い傾向が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は対面での実験および観察研究を予定していたが,感染症拡大により,研究フィールドとする予定の幼稚園に訪問が難しくなり,オンラインを用いたシナリオ実験に切り替えた。早い段階での計画変更を行ったため,予定通りの実験研究を行うことができた。ただし,実際の現場における観察研究が不可能になったため,計画以上の進展までは望めなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,引き続き感染症拡大防止に最大限に努めつつ,オンラインを用いた調査や実験,面接を行う予定である。また,時期を見て,感染症対策を十分にとった上で,研究フィールドでの観察研究を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍のため,海外・国内出張が取りやめとなり,また対面での調査・実験・観察をとりやめたため,旅費および対象者への謝礼,人件費分をすべて調査委託費に用いた。対面での観察研究のための人件費に多くの研究費を用いる予定であったため,残額が生じた。
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